JRAの殿堂入り「記者投票」は止めるべき!? 全体の約21%「該当馬なし」の崩壊……新制度が投票する気のない”無気力”記者の温床に
JRA(日本中央競馬会)は30日、2017年度の「殿堂入り」の決定となる顕彰馬の選定記者投票の結果から、選定馬がいなかったことを発表した。
毎年、約200名の大手メディアに所属する記者の投票によって選定されている顕彰馬。今年は207名の記者が「1人4票」までという規定の下で投票を行ったが、第1位のロードカナロアは152票と選定基準となる4分の3にあと4票及ばず、惜しくも落選となった。
だが、この結果に疑問を持っているファンは多いようだ。
通算成績19戦13勝、G1・6勝。馬券圏外となる3着以下が1度もなく、ここ数十年で間違いなく「最強スプリンター」と呼ぶに相応しい実績を残したロードカナロア。特にここ数年、日本のスプリンターがまったく歯が立っていない香港スプリント(G1)を連覇した実績は歴史的快挙であり、地元香港の競馬ファンからも「龍王」と恐れられた。
確かに、これまで32頭を数える顕彰馬の大半は2400mを中心としたチャンピオンディスタンスで活躍しており、短距離馬として扱われるのは1999年に殿堂入りしたタイキシャトルがいる程度と”風当たり”は強い。その一方で、1998年にフランスのジャック・ル・マロワ賞(G1)を勝つなど、世界的なマイラーとして活躍したタイキシャトルだが、選定基準の1つとなるG1勝利数5勝はロードカナロアよりも1つ少ないという見方もある。
すでに引退してから3度の記者投票が行われているが、過去2年はオルフェーヴル、ジェンティルドンナという三冠馬に阻まれ、そして今年はわずか4票で逃したロードカナロア。本来なら、とっくに選定されていてもおかしくない歴史的名馬だが、悲願の殿堂入りは来年以降に持ち越しとなってしまった。
ただ、「どうせ来年には殿堂入りするだろう」などと気長に構えていると、なんだかんだで”機”を逃してしまうのが「記者投票の4分の3を獲得する必要がある」という、この制度のおかしなところである。