JRAの殿堂入り「記者投票」は止めるべき!? 全体の約21%「該当馬なし」の崩壊……新制度が投票する気のない”無気力”記者の温床に
例えば、今年惜しくも殿堂入りを逃したロードカナロアにしても、来年には本馬以上の実績を引っ提げて引退した、2015年の年度代表馬モーリスが投票対象に加わる。物理的に4分の3の投票を獲得できるのは毎年1頭しかいないため、来年もロードカナロアが選定されることはまずないと考えられる。
さらに翌年となると現役王者となるキタサンブラックや、この秋に凱旋門賞に挑戦するサトノダイヤモンドらも投票対象に加わってくる可能性もあり、ロードカナロアはますます厳しい立場に立たされる可能性が高い。したがって、この日本競馬史上最強のスプリンターにとっては、今年こそが最大のチャンスだったという可能性もあるのだ。
ただ、これだけの名馬が今年殿堂入りを果たせなかった理由は、馬の実績というよりも、この記者投票という制度自体に問題がある気がしてならない。
実際に、今年の選定投票に参加した記者は207名。「1人4票」の投票権があるので、順当に考えれば最大828票(207×4)が投票されるはずである。しかし、JRAの公式HPで発表された結果の合計投票数は652票。つまり残りの176票は「該当馬なし」という結果になっているのだ。
無論、投票はあくまで個人の主張なので、基本的にはどうしようと自由である。しかし、あまりにも多くの「該当馬なし」に、どれだけの意味があるのかは甚だ疑問だ。
それも176票、全体の約21%にあたる”白票”がありながら、顕彰馬の選定条件は全体の75%の票の獲得が必要。記者数の75%という考え方ながら、ここにこの制度の”歪み”が存在しているのではないだろうか。
さらに問題なのは、投票を管理するJRAの姿勢だ。