武豊が「告白」宝塚記念(G1)キタサンブラック大敗劇で「最大の敗因」とされるサトノクラウンの”荒技”の影響……凱旋門賞消滅への思いと「雪辱の秋」へ<2>
キタサンブラックの凱旋門賞挑戦「白紙」について
「まだ、夢に見ますね」
昨年末に行われたJRA『Umabi』の対談企画でのこと。メジャーリーグ・ヤンキースのエースとして活躍する田中将大投手をゲストに迎えた武豊騎手は、2006年のディープインパクトでの凱旋門賞の敗戦に関して、そう告白している。
あれから10年以上の月日が積み重ねられたが、武豊騎手には未だ大きな「借り」として心に残っているということだ。
そういった意味でキタサンブラックとの凱旋門賞挑戦は、武豊騎手にとってこれまでの挑戦以上に大きな意味を持っていた。凱旋門賞の借りは、やはり凱旋門賞を勝つことでしか返せないからだ。
「もし、次にそういった馬に巡り合えたら、あの時の経験が活きる」「そういう馬で凱旋門賞にトライしたい気持ちは凄くある」「来年は最高のパートナー、最高のスタッフとともに、日の丸を背負った日本代表のジョッキーとして勝負の場に立ち、鳥肌が立つようなレースをしたい」
当時はまだキタサンブラックが年度代表馬に選出される以前であったこともあり、具体的な馬名こそ挙げなかったが、凱旋門賞への思いを熱く語る武豊騎手の脳裏には、自身が騎乗するキタサンブラックの姿があったはずだ。
実際にキタサンブラックが年度代表馬に選出された今年1月のJRA賞授賞式で、武豊騎手が「海外遠征は人が馬を連れて行くというより、馬が人を連れて行ってくれるもの。ただ(凱旋門賞が行われる)シャンティイの芝適性はあると思います。そうなるように頑張りたい」とキタサンブラックとの凱旋門賞挑戦を熱望したことで、メディアの扱いもヒートアップ。
宝塚記念の直前には「凱旋門賞へ向けた壮行レース」という見出しが躍っていた。