岩田康誠騎手が「因縁」ゴールドシップ降臨に大興奮!? レースで”指示無視”最後には「すかし芸」の屈辱から2年……「身内」を勝利に導き立場逆転?

※画像:ゴールドシップ 『競馬つらつら』より

 2度目のチャンスは、その年の有馬記念で巡ってきた。

 岩田騎手とゴールドシップは有馬記念で敗れたものの、翌年の阪神大賞典を勝利。今度こそ胸を張って天皇賞・春へと思われたが、陣営が2年連続惨敗している舞台への出走を悩んでいる内に、岩田騎手へアドマイヤデウスの騎乗依頼が……。

 結局、ゴールドシップも横山典弘騎手で天皇賞・春に出走。「昨日の友は明日の敵」という、なんとも皮肉な”直接対決”となったが、アドマイヤデウスが15着に大敗した一方、ゴールドシップは見事3度目の正直で優勝を果たしている。しかも、その勝利がきっかけで岩田騎手がその後、ゴールドシップに乗ることはなかった。

 極めつけは、ゴールドシップの引退式での出来事だった。

 2015年の12月27日。引退レースとなった有馬記念後に行われた引退式。式には元主戦で最後のレースに騎乗した内田騎手、凱旋門賞で騎乗した横山騎手、そして岩田騎手が参列した。

 須貝調教師や、内田騎手が目頭を熱くさせながら本馬との思い出を語り、ゴールドシップはまるで相づちを打つかのように鳴き声を上げる。続く横山騎手が一番の思い出として「(大きく出遅れて15着に大敗した)宝塚記念のスタート」と会場の笑いを誘うと、ゴールドシップもツッコミを入れるように嘶いた。まさに涙あり、笑いありのゴールドシップらしい引退式である。

 そして、マイクが回ってきたのが岩田騎手だった。岩田騎手も場の空気を読んだのか「ボク(の時)だけ、何でこんなに掛かるんだろう」と横山騎手に次いでのギャグ。確かに阪神大賞典は、まるで指示を無視したかのようなレースぶり。ゴールドシップだから勝てたような、掛かり通しの競馬だった。会場には笑いが起こったが、ゴールドシップは岩田騎手の発言だけを華麗にスルー。まさかの「すかし芸」だった。

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