R.ムーアが認めた「いぶし銀」秋山真一郎騎手が武豊騎手の偉大な記録へリーチ! 戸崎・福永・岩田らトップジョッキーに勝る記録達成の「カギ」は…
「勝つまで20年以上かかったので、やっと新潟で勝ててものすごく嬉しいです」
JRAきっての名バイプレイヤーは涼しげな顔でそう語った。
3日に行われた新潟記念(G3)は、秋山真一郎騎手の騎乗するタツゴウゲキ(牡5、栗東・鮫島一歩厩舎)が優勝。好スタートを決めて番手のポジションを確保すると、早め先頭の積極策から新潟の長い直線をしのぎ切り、追いすがる1番人気のアストラエンブレムをクビ差だけ制した。
タツゴウゲキは前走の小倉記念に引き続き重賞連勝。サマー2000シリーズの合計ポイントで単独1位に浮上し、堂々と夏の中距離王のタイトルに輝いた。
父は現代の主流血統とは言えぬマーベラスサンデーで、母系も目立った活躍馬は出ていない地味な血統背景。サンデー系特有のスパッとキレる脚はなく、レースぶりも派手さに欠けるが、ローカルとはいえ重賞で連勝を収めたあたり地力は確か。まさに「いぶし銀」的なポジションで秋のG1戦線でもスターホース相手に立ち向かってほしいものだ。
そしていぶし銀といえば、鞍上の秋山真一郎騎手にも通じるものがある。これまで積み上げた重賞タイトルは33。はじめて重賞を制した1998年のG2・神戸新聞杯(勝ち馬カネトシガバナー)から全国各地で着実にタイトルを獲得し、ついにJRA全場重賞制覇まで福島競馬場を残すのみのところまで来た。
この「JRA全場重賞制覇」という記録だが、前身である国営競馬時代に中京競馬場の開場によって全10場が整備された1952年以来、達成に至った騎手はごくわずか。古くは「穴男」などの異名をとった安田富男騎手、そして競馬界のレジェンド・武豊騎手をはじめ、藤田伸二騎手、横山典弘騎手とたった4人しかいない。