菊花賞(G1)を占う「夏の上がり馬」をピックアップ! ダービー馬不在の”乱菊”だからこそ押さえておきたい有望新勢力「4頭」をチェック
さらに同日に札幌で行われた丹頂S(OP)には、札幌2歳S(G3)の勝ち馬トラストが出走したものの、こちらも12着と見せ場なし。先述したサトノアレスも函館記念(G3)では6着と1番人気を裏切っており、アエロリットがクイーンS(G3)を勝った3歳牝馬と比較しても、3歳牡馬の不振が目立った夏だった。
しかし、そんな中でも力強く階段を駆け上がった「夏の上がり馬」は、今年の夏もしっかりと存在している。
古くから「春のクラシック組」VS「夏の上がり馬」という図式が描かれている菊花賞。中でも上がり馬の多くは、夏競馬の間に「古馬を相手に芝1800m以上の1000万下を勝利」している。逆にいえば、それくらいの実力がなければ本番ではまず通用しないということだ。
決して優しいハードルではないものの、今年の3歳牡馬にも古馬を相手にしっかりと勝ち上がり、秋の「本番」へ向け虎視眈々と牙を研ぐ「4頭」の上がり馬がいる。順にピックアップしたい。
まずは、7月23日に函館で行われた松前特別(1000万下、芝2000m)を勝ち上がったバルデス(美浦・木村哲也厩舎)だ。
レイデオロが勝った日本ダービーの翌週のホンコンJCT(500万下)を勝ち上がり、7月23日の松前特別に挑戦したバルデス。10頭立ての芝2000mで行われたレースでまずまずのスタートを切った本馬は、無理せず後方からの競馬を試みた。
1000m通過が61.5秒とゆったりとした流れ。残り800mの地点で最後方だったバルデスは、3コーナーで外に持ち出されるとじょじょに進出を開始。まくりに出たが、内にいたフォワードカフェの抵抗を受け、大外を回る距離ロス。
結局、直線に向いた際は中団外目まで押し上げるのがやっとだったが、そこからの伸び脚が違った。前を行く馬をまとめて交わして、最後は流し気味にゴール。レース後、C.ルメール騎手が「厳しかった」と話したように、決してスムーズとはいえないレースだったが、ここでは力が一枚上といった内容だった。
母がフローラS(G2)など重賞を3勝し、牝馬G1戦線で活躍したディアデラノビアで、半姉に重賞3勝のディアデラマドレ、京都2歳S(G3)を勝ったドレッドノータスがいる良血。父がペルシアンナイトやモズカッチャンといった今年のクラシックの活躍馬を送り出しているハービンジャーだけに、秋への期待が高まる。
だが、どうやら体調面に不安があるようで菊花賞戦線はパスする可能性が高そうだ。近親に活躍馬の多い良血なので、先々を見据えて大事に育てて行く方針のようだ。