JRAの帝王・武豊の「決して超えられない壁」とは。人気者だからこその悲しき宿命
年末の朝日杯フューチュリティステークス(G1)、そしてホープフルS(G1)さえ勝てば「JRA・G1完全制覇」という前人未踏の大記録達成となる武豊騎手。まさに競馬界のレジェンドである。
天才といわれた武邦彦の息子として1987年にデビューして以来、JRAの記録という記録を次々と塗り替え、まさに日本競馬をけん引し続けてきた武豊。JRAの通算勝ち星は3900勝以上を数え、2013年には国内外合わせてG1だけで100勝到達の金字塔を打ち立てている。
ただ、そんな競馬におけるすべてを手にしてきた帝王・武だが、期待の高まるG1完全制覇の他に、未だ手の届いていない”栄誉”がある。
強い馬がその期待に応え、大舞台で強いレースを見せることが”スポーツ”としての競馬の醍醐味であれば、”ギャンブル”としての競馬の醍醐味は、やはり「あっと驚かせるような大穴でG1を勝利」することに尽きるだろう。
仮に、史上最強馬として名高いディープインパクトでいくらG1を勝ったところで「誰が乗っても勝てるのでは」という声は、どうしても妨げることはできない。
しかし逆に、例えば一昨年のチャンピオンズカップ(G1)で12番人気のサンビスタに騎乗し、見事大穴を開けたミルコ・デムーロ騎手の技術には、ネット上の競馬ファンから「さすがデムーロ様」「まさに神業」「ミルコの神騎乗」と称賛の声が飛び交っていた。