JRAG1・3勝ロゴタイプ引退、種牡馬入り……最強覚醒モーリスに唯一の「マイル黒星」をつけた「渋くしぶとい」競走生活
G1競走3勝のロゴタイプ(牡3 美浦・田中厩舎)が引退を発表。今年の安田記念2着以来体調が整わず、馬齢も考慮しての引退となった。今後は社台SSで種牡馬になるという。
非常に息の長い競走生活だったといえる。2歳時に人気薄ながら朝日杯FSを制し2歳王者に。3歳時にはスプリングS、皐月賞と連勝し、まさに「王者」として君臨。しかし、日本ダービーではキズナの豪脚に屈し5着に敗れた。
その後は中距離を中心に使われるも、なかなか勝利できず4歳までを過ごす。5歳秋からは本格的にマイル戦線を中心に戦うも、やはりどうしても1着になることができず。最後の勝利からすでに3年の月日が経過し、6歳を迎える。
しかし、このG1競走2勝馬はこのままでは終わらなかった。
6歳で迎えた安田記念、大本命はすでに国内外のマイルG1競走を4勝し「アジアチャンプ」として参戦したモーリスだった。このレース、ロゴタイプは、これまで見せなかった積極的な競馬を展開する。
絶好のスタートを切ったロゴタイプはそのままハナを譲らずに「逃げ」の形に。場内がどよめくが、これまでの戦績から大きな脅威とは思わなかったファンも多かっただろう。最初の3ハロンを35.0のマイペースにまとめると、道中も12.0 – 12.1とゆったりしたラップを刻む。モーリスが折り合いを欠く中、直線に入ったロゴタイプはまだまだ余裕綽々といった手ごたえだった。
直線半ばでさらに後続を突き放したロゴタイプは、遅ればせながら脚を伸ばしてきたモーリスを1馬身1/4差抑えて勝利。本格化してからのモーリスをマイル戦で唯一破った馬になると同時に、3年2か月ぶりのG1勝利という離れ業もやってのけた。
その後は勝利こそ挙げられなかったが、天皇賞5着、中山記念3着、翌年の安田記念も2着と存在感を示し続けてきたロゴタイプ。その渋い立ち位置から、競馬ファンに愛された馬でもある。ともに戦ったエピファネイアやキズナも自然と思い出される。
G1競走3勝は一流の名馬の証。種牡馬としての新たな日々も、息の長い活躍を期待したい。