「お役所体質は今やお荷物?」日本競馬の海外遠征増加に”背信姿勢”のJRA。今こそ「海外遠征サポート制度」を復活させるべき


 かつて1999年。二ノ宮敬宇調教師は長期の海外遠征を敢行し、凱旋門賞でも2着とエルコンドルパサーを世界の頂点まであと一歩のところまで導いた。だがその一方で、その後も数多くの名馬が凱旋門賞へ挑戦するも、エルコンドルパサーのように長期の海外遠征を実施して「本気」で勝ちいく陣営は現れない。

 実はそれにも費用的な問題が絡んでおり、エルコンドルパサーが行なった半年間の遠征でも億単位の経費が発生したという。

「エルコンドルパサーのように長期滞在した方が有利なのは明らか。でも簡単に行けない事情があるんだよ」と語るのは、同じ関東の重鎮として二ノ宮調教師とも親交の深い国枝栄調教師だ。

 さらに師が「もし凱旋門賞の馬券を国内で発売していたら、並のG1よりよっぽど売れる。その売り上げの1割を海外遠征のサポートに充てれば、経費の問題も一気に解決するんだろうな」と続けたのは、今から3年前の話である。

 別にサポートしなくとも、これだけ多くの陣営が海外遠征しているから良いのでは、という問題ではない。海外の主要レースに日本馬が出走した方が馬券売り上げに繋がる状況が生まれた今、JRAが売り上げを理由に海外遠征のサポートを廃止する理由はないということだ。

 昨年の凱旋門賞への出走馬「0」は、遠征補助制度の廃止の影響も多少あったはずだ。

 日本競馬全体で世界へ打って出る流れが再燃している今年、JRAだけが”後向き”の姿勢でいては、その財界人的な”お役所体質”にファンの心は離れるばかりだろう。

 だからこそ今、JRAは日本競馬発展のために目先の利益を捨て、身を削ってでも先頭に立つ姿勢を示すべきではないだろうか。遠征補助金の復活だけならば法改正を必要とせず、JRA内部の決定だけでも可能という意見もある。早急な検討を願う次第だ。
(文=浅井宗次郎)

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