JRA勢の南関東クラシック「侵略」に待ったなし……中央の「大器」プロミストリープによる”異次元”の桜花賞制覇に地方競馬関係者から悲鳴
昨年の2歳馬による新馬戦開始から、この日に至るまで、南関東には南関東の”ストーリー”がありながら、最後の最後で”転校生”によってあっさりと攫われたクラッシク第1冠。南関東のクラシック戦線を見守ってきた関係者やファンの中には、複雑な心境で今回の結果を受け止めている人も当然いることだろう。
例えば、今年6月に控えたサッカー・ワールドカップの開催直前で、世界各国から厳選された外国人11人が日本に帰化。そのまま日本代表レギュラーとしてW杯に出場するとなれば、多くのサッカーファン、そして日本人選手はどう思うだろうか。素直に代表を応援する人もいるだろうが、その一方で「今までの予選と代表選考の戦いは、一体何だったんだ?」と怒りを覚える人も当然いるはずだ。
実は今年の桜花賞に限らず、似たようなことが、昨今の南関東クラシックでは毎年のように起こっている。
2016年、南関東の3歳馬の頂点を決める東京ダービーを勝ったのは、やはり中央から「転厩初戦」のバルダッサーレだった。それも7馬身差の圧勝である。さらに昨年の羽田盃でも同じく「転厩初戦」のキャプテンキングが勝利。つまり今回の件は、今に始まったことではないということだ。
「プロミストリープが勝った桜花賞の1着賞金は2000万円。南関東最大のイベントの1つである東京ダービーに至っては4200万円と、これは地方の競馬関係者に限らず、中央の競馬関係者にとっても非常に魅力的な賞金です。それが中央勢からすると”楽勝”で手に入るのだとすれば、地方に移籍してでも獲りに行く選択肢が生まれるのも当然でしょう。
ちなみに一昨年のバルダッサーレはJRAで13戦2勝、昨年のキャプテンキングも8戦2勝と中央では、すでにある程度”底”が見えている馬でした。しかし、今年のプロミストリープは2戦2勝。それもデビュー戦を9馬身差、2戦目を単勝1.4倍で勝ち上がっている馬です。
そんな”大器”まで、あっさりと地方に移籍してしまうのですから、この風潮は『年々加速している』と述べても過言ではないでしょうね。
いずれ南関東のクラシックすべてが中央移籍馬にジャックされる可能性も、最早低くはないでしょう。それどころか南関東クラシックが、地方馬デビュー馬を置き去りにした『中央移籍馬による争いの場』と化すのも遠い未来でないような気がしています。事態を深刻に見る地方競馬関係者からの”悲鳴”も少なくないのが現状です」(競馬記者)