【徹底考察】函館スプリントS(G3) シュウジ「早熟?スプリンター?不振に苦しむシュウジの『本当』の姿とは」
【血統診断】
まず、不良馬場の適性だが、父キンシャサノキセキは多くのフジキセキ産駒と同じく多少の雨には強い。実際に重馬場でオーシャンS(G3)を勝っている。産駒に関してはシュウジらが最初の世代なのでまだはっきりした傾向は出ていないが、シュウジ自身が稍重で2勝2着1回。雨は苦にしてないようにも思える。
次にシュウジの距離適性だが、先述したように父キンシャサノキセキはまだサンプル数が少ないものの、すでにマイルから1200mでの活躍馬が目立っている。中でも高松宮記念を連覇した父と同じように1200mでの活躍が最も顕著だ。ちなみに馬場は叔父のフジキセキと同じく、芝ダート両方で活躍馬を出しているようだ。
従ってシュウジも今回のスプリント戦で新味を出す可能性は感じられるが、それ以上に本馬のスプリント適性を強調しているのが、1200mの北九州記念を勝った半兄ツルマルレオンの存在だ。しかもツルマルレオンはハーツクライ産駒のスプリンターという珍しい存在。当然ながら母方に優れたスピード要素がなければ成し得ない適性だ。
つまり、ツルマルレオンと同じ母ながらスピードタイプのキンシャサノキセキを配合されたシュウジは、血統だけを見れば「完全に良質なスプリンター」である。
血統的には、ここで大化けしてもおかしくはないといえる。
≪結論≫
『考察』では2走前のファルコンSだけに触れたが、前走のNHKマイルC(G1)では、まさにシュウジの「距離の限界」を見たような一戦だった。結局、メジャーエンブレムが逃げ切ったので一度も先頭に立つことはなかったが、それでもラスト200mまでは2番手だった。そこから後続が追い上げてきたこともあるが、一気に垂れて12着。
だが、4着馬とは0.3秒差で着順ほどは負けていない。不甲斐なかったファルコンSよりは、よほど情状酌量の余地がある敗戦だったといえるだろう。
また、一部から早熟説も流れているが、兄のツルマルレオンが古馬になってから初めて重賞を勝ったこと、そして父キンシャサノキセキが8歳で高松宮記念(G1)を連覇したことからも、本馬が早熟馬である可能性は低い。
実際に唯一のスプリント戦となった小倉2歳Sはレースこそ完勝だったが、負かした相手が弱く、レースレベル自体は例年の小倉2歳Sとあまり変わらない。だが、あの頃から馬が成長していれば、52㎏で走れるここで真価を発揮する可能性は十分にある。
(監修=下田照雄(栗東担当))