何故、ドゥラメンテはファン投票6位に甘んじたのか。王者だからこそ課せられる『期待』とその『反動』。分水嶺の決戦を迎えた「日本競馬の総大将」の”謎”を紐解く
「停滞―-」これこそが、ファンが現状のドゥラメンテに出した答えだったように思う。何故なら、ドゥラメンテの6位という評価は、昨年のファン投票とまったく同じ順位だからだ。
ドゥラメンテが本当に強いのかどうか。また、どの程度強いのか。ファンは掴みかね、各メディアもまた答えを探しあぐね、根拠に欠ける報道を続けている。
だが、その問題は今週の宝塚記念で大きな決着をみせるだろう。
ドゥラメンテに関しては、もう一切の言い訳が効かない戦いになる。例え、落鉄しようが、不利があろうが、敗戦はこの馬が持つ特別なカリスマ性を根こそぎ奪い去るだろう。何故なら、そういった「運」もまた競走馬が活躍するための重要な要素の一つであるからだ。
だが、勝ちさえすればドゥラメンテは再び英雄になる。すべての疑念は解消され、絶対王者への信頼は「雨降って地固まる」の言葉通り、確固たるものになるだろう。最大目標である秋の凱旋門賞にも、極めて大きな期待と声援を集めて挑むことになるはずだ。
待っているのは『栄光』か『没落』か――。ドゥラメンテにとって、今回の宝塚記念はまさに分水嶺の決戦になる。
(文=浅井宗次郎)