武豊スペシャルウィーク、和田竜二テイエムオペラオー……2018上半期、競馬界に大きな影響を与えた歴史的名馬たちの「訃報」を振り返る
G1歴代最多の7勝を含む26戦14勝。特に年度代表馬に輝いた2000年は年間無敗の8連勝を飾り、古馬主要G1を総なめにするグランドスラムを達成した。奇しくも昨年引退したキタサンブラックに、JRA獲得賞金記録を塗り替えられるのを見届けてからの他界。また、実はスペシャルウィークの獲得賞金記録を塗り替えたのがテイエムオペラオーと、この2頭には運命的な共通点がある。
テイエムオペラオーといえば、キャリア26戦すべてで手綱を執ったのが、当時若手だった和田竜二騎手。師匠の岩元市三調教師、そして竹園正繼オーナーの深い理解があってこそ実現できた「人が人を育てた最後の時代」と言われている。
あれから17年、大きく成長した和田騎手は、相棒の訃報に「まだまだ私は走ります。あなたのように速く強くなりたいから…ご冥福をお祈りいたします」とツイート。先日の宝塚記念では、その弔いを行うかのように17年ぶりのG1勝利。テイエムオペラオー以来のG1制覇は、多くの人々の感動を呼んだ。
また今年1月に亡くなったノースフライト(28歳没)も、競馬ファンの記憶に強く残っている名牝だ。
11戦8勝2着2回という高い勝率を誇る「マイルの女王」は、現役時代「フーちゃん」と多くのファンから親しまれている。その愛らしいニックネームとは裏腹に、マイル戦ではG1・2勝を含む5戦全勝と圧倒的な強さを見せつけた。
特に1994年の安田記念は、重賞3連勝中だった本馬が5番人気に甘んじる歴代でも屈指の好メンバー。歴代最強スプリンターとして名を残すサクラバクシンオーら日本のライバルだけでなく、武豊騎手と共にフランスのG1を制したスキーパラダイス、欧州のマイル王サイエダティなど、海外からも多くの強豪が集結した。
G1・2勝に過ぎないノースフライトが今でも歴代最強マイラーの一角に挙げられるのは、この安田記念を2馬身半差で圧勝したからだ。繫殖牝馬としてもミスキャストが種牡馬入り、産駒のビートブラックが2012年の天皇賞・春を制し、競馬ファンを沸かせた。
その”フーちゃん”が安田記念を制した1994年、秋のG1シーズンで圧倒的な快速ぶりを見せつけたのが、同世代のネーハイシーザー(28歳没)だった。