「やはり」撃沈……宝塚記念(G1)8着サトノノブレスに漂う哀愁。盟友サウンズオブアースとの合言葉は「目指せ!リンカーン先輩」?


 さすがに菊花賞で2着するだけあって、古馬になってからもG1戦線で活躍した馬が目立つ。特に昨年のリアルスティール、2011年のウインバリアシオン、1999年のテイエムオペラオー、1998年のスペシャルウィークがいる辺りは、さすが『結構強い馬』である。

 しかし、ここから「皐月賞、日本ダービーで連対歴があった馬は除く」という条件を設定すると……。

2014年サウンズオブアース、2013年サトノノブレス、2012年スカイディグニティ

2009年フォゲッタブル、2008年フローテーション、2007年アルナスライン

2005年アドマイヤジャパン、2004年ホオキパウェーブ、2003年リンカーン

2002年ファストタテヤマ、2001年マイネルデスポット、2000年トーホウシデン

1997年ダイワオーシュウ

 一気に増す、この”脇役臭”は一体何なのだろうか……サウンズオブアースが持つ有馬記念2着の実績でさえ、このメンバーでは「偉業」という錯覚を覚えてしまう。

 無論、G1で2着することは決して簡単なことではないが、それでも彼らは紛れもない菊花賞2着馬であり、立場的には「これ以上のシルバーメダルはいらない」と言える立場の馬たちだ。

 特に悲惨なのが2003年のリンカーン。その年の有馬記念で3歳馬ながら2着に入ったが、勝ったシンボリクリスエスからは9馬身という絶望的な着差。2006年の天皇賞・春の2着に至ってはディープインパクトにぶっちぎられ、鞍上の横山典弘騎手が「この馬は生まれた時代が悪かった」と”生涯完敗宣言”をしている。

「生まれた時代が悪かった」名脇役を志す者からすれば、まさに垂涎ものの賛辞である。

 他にも天皇賞・春で2年連続1番人気を背負って惨敗など、リンカーンは悪く言えばG1を勝てそうで勝てない馬だったが、よく言えば競馬を盛り上げた「名脇役の鏡」のような存在だ。

 無論、競走馬である以上、決して1着以外を目指して競馬をしているわけではない。だが、G1を勝てないにしても一線級で長く活躍することは経済的にも、そして精神的にも馬主孝行な馬であることは確かだ。

「皐月賞、日本ダービーで連対歴がない菊花賞2着馬」であるサトノノブレスとサウンズオブアース。彼らもまた、すでに名脇役の鏡のような存在になっているが、まだまだ”リンカーン先輩”の貫録には及ばない。

 だからこそ来たる秋競馬も、彼らには大いにG1戦線を盛り上げていただきたいものである。

 無論、できれば脇役として。

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