ディープインパクト産駒の「異端児」マリアライト。稍重の宝塚記念制覇から見える「偉大な血」の影響と「ディープ時代の未来」
宝塚記念(G1)を8番人気ながら制した牝馬・マリアライト。キタサンブラックとドゥラメンテという、ビッグレースを2つ制した大物を向こうに回しての勝利は、新たな「女傑」誕生を告げるものだった。
マリアライトの父は、今をときめくトップサイアー・ディープインパクト。マイルから 中距離を中心にその豊かなスピードを産駒に伝え、日本競馬を席巻しているのが実情だ。今年の皐月賞、日本ダービーでもディープインパクト産駒が2戦連続1~3着を独占(マカヒキ・サトノダイヤモンド、ディーマジェスティ)。まさに我が世の春といったところ。
ただ、マリアライトに関しては、ディープインパクト産駒にある「弱点」というべきか特徴に関しては例外的な存在といえる。それは馬場だ。
基本的に、ディープインパクト産駒は、雨などによって荒れた馬場での競馬を得意としていない。身上となるスピードが重くなった馬場によって削がれているのは間違いないだろう。馬格に乏しくパワーに欠けるのか、ダートでの活躍馬もほぼ皆無の状況だ。そういう意味ではキングカメハメハのほうが幅は広い。実際、稍重で行われた宝塚記念でも、アンビシャスなどディープインパクト産駒の多くは見せ場なく敗退している。
そんな中、マリアライトはもともと重い馬場を得意とする。勝負どころでカミソリのようなキレ味を発揮することはないが、とにかくジリジリと確実に伸び続ける「パワータイプ」のレースを展開する。ディープインパクト産駒の中では極めて稀な存在だ。
その要因は、母クリソプレーズの父であるエルコンドルパサーの影響が強いといえるだろう。国内G1競走2勝、フランスでもサンクルー大賞を勝利し、凱旋門賞でも2着とした名馬中の名馬だが、欧州のパワーのいる馬場でこそよりその能力を発揮した印象がある。実際、クリソプレーズのこれまでの産駒であるリアファルは粘りが持ち味、クリソライトはダートで活躍している。マリアライトもこの傾向が色濃く残っているということだろう。