「同じ社台グループなのに」ノーザンファームが圧勝する理由……報酬を惜しげもなく投資する「ビジネスモデル」に驚嘆
中央競馬において、上半期終了時点で行われた重賞は69レース。実はその内28勝、つまりは40%を「ノーザンファーム」の生産馬が勝利していると「デイリースポーツ」が報じている。
マカヒキにサトノダイヤモンド、マリアライトにドゥラメンテにメジャーエンブレム、シンハライトと、この春のG1戦線はノーザンファームの生産馬が埋め尽くした。
ノーザンファームといえば、世界で見ても最大級の競走馬生産集団「社台グループ」の一つだが、社台ファームに追分ファームと他にも牧場を所有しているにもかかわらず、ノーザンファームの成績だけが圧倒的だ。上半期の勝利数289勝は2位の社台ファームを100勝以上突き放している。
ノーザンファームはここ数年、「馬・人・施設」に莫大なる投資をし、サトノダイヤモンドやシンハライトも母馬は海外から輸入してきたもの。それが実を結んでいるようだ。さらにはノーザンファーム天栄の坂路コースの延長なども今後行っていくそうで、まだまだ改善を繰り返していくようだ。
もともと、ここ10年はノーザンファームにとってまさに「我が世の春」というべき圧倒的な成績を収めており、そこで稼いだ賞金だけでも想像を絶するもの。その上で、同牧場はその稼いだ金銭を惜しげもなく「馬・人・施設」に投下し、さらなる拡大を目指している。
「向上心」などという生易しい言葉では言い表せないが、飽くなき上昇志向によってノーザンファームが世界でもトップクラスの巨大牧場へと変貌していったのが理解できる。良質な繁殖牝馬を複数購入するだけでも数十億円の投資であることを考えれば、そのチャレンジングな姿勢が分かるというもの。それで成功を収めている現実を考えれば、単純にビジネスモデルとして極めて優れているといえるかもしれない。
同じ社台グループでも、ノーザンファームと社台ファームのディープインパクト産駒の活躍の度合いは大きく異なるなど、育成環境やスタッフの優秀さにも大きな差があるように思える。無論、どちらが勝っていようとも最終的な懐は同じなのだが……。
これでは、他の中小牧場では太刀打ちできないに違いない。彼らにとっての唯一の希望は、やはり社台グループが侵食していないダート路線か。