何故「JRAモレイラ」は誕生しなかったのか……号泣した香港No.1騎手の「今後」と識者が語った騎手試験の「真相」とは
「正直、ハードパンチを受けたような感じです……」
いつも笑顔が絶えない”マジックマン”の表情も、さすがに曇った。11日、JRAから騎手免許1次試験合格者(人数)が発表され、通年免許取得を目指していたJ.モレイラ騎手が不合格となったことがわかった。なお、唯一の1次試験者は南関競馬で期間限定騎乗を行っている藤井勘一郎騎手だったことも判明している。
「残念……心が痛んでいる。家族がいるので今の気持ちを乗り越えたいが、次のプランまでは時間が必要です」
この夏、数々の記録を達成し「No.1」の座に輝いていた香港競馬から”卒業”したモレイラ騎手が次なるチャレンジに定めていたのが、日本競馬へ通年参戦だった。
今年も短期免許で来日すると、瞬く間に勝ち星を量産。圧倒的な成績で札幌リーディングを獲得すると、この秋も随所で存在感を発揮している。日本の競馬ファンにもすっかりお馴染みとなり、もしJRA入りが決まれば年間リーディングが確実視されるほど、周囲の関係者の評価も高い。競馬評論家の柏木集保氏はモレイラ騎手を落とすことは「歴史的な恥」とまで言い切っており、JRA入りするのは”既定路線”という声もあった。
しかし、現実には極めて厳しい結果が待っていた。
この日、レディスプレリュード(G2)に騎乗するため大井競馬場に訪れていたモレイラ騎手の元に悲報が舞い込んだ。
取材に応じたモレイラ騎手はショックのあまり、来年以降の再挑戦についても「今は答えられません。イエスともノーとも」と答えるのがやっと。最後には「温かく協力して頂いた皆様、関係者の皆様やファンの応援のメールも沢山頂きました。それなのに、それに応えられず本当にすみません……」と、涙をこらえきれない様子で取材陣を後にした。