エアグルーヴの名血が引き寄せた「天命」により前代未聞のスタートを切った新種牡馬ルーラーシップ。偉大過ぎる「比較対象」と問われる「真価」
今年も夏を迎え、日々上昇する気温と同じくじょじょに熱を帯びてきた2歳戦線。同時に注目されるのが、ファーストクロップがデビューを迎える新種牡馬だ。
数多くの新種牡馬がデビューするが、中でもすでに2009年の日本ダービー2着馬リーチザクラウンが、3頭の勝ち上がりを出すなど話題沸騰中。厳しい前評判を覆す快進撃に、早くも注目が集まっている。
他にも2012年のダービー馬ディープブリランテや、2009年にNHKマイルCを制したジョーカプチーノも、すでに新馬勝ちの産駒を送り出しており、まずは順調なスタートを切っている。
しかし、今年の新種牡馬の「大本命」は間違いなくルーラーシップに他ならない。
G1勝ちが香港のクイーンエリザベス2世Cのみという、種牡馬としては頼りない実績だが、日本競馬を代表する名牝エアグルーヴの最高傑作となる同馬。姉のアドマイヤグルーヴが昨年の2冠馬ドゥラメンテを輩出するなど、未だ日本競馬をリードする名門だ。
もちろん繁殖牝馬の質は新種牡馬の中でも群を抜いており、産駒頭数に至っては先述したリーチザクラウンの約4倍だ。はっきりいって、ある程度の成功はすでに約束されていると述べても過言ではないだろう。
だが、いくら良血とはいえ競走実績も頼りなく、もちろん種牡馬としても何の実績もないルーラーシップが初年度から、ここまでプッシュされていることには明確な理由が存在する。
これこそ、1983年のオークス馬ダイナカールから脈々と継がれる一族の名血が引き寄せた「天命」だろうか――。ルーラーシップが初の種付けを迎えた今から3年前の2013年。日本を代表する種牡馬ディープインパクトと人気実績を二分する大種牡馬キングカメハメハが、体調不良により種付けの制限を行ったのだ。