シーザリオ、ルージュバック、ハープスター、シンハライト……まさに名牝の歴史が復元した「史上最強の布陣」で挑むキャロットファーム2歳馬が目指すは「クラシック独占」
リーディングオーナーは一昨年が第1位、昨年が第2位、今年もマリアライトの宝塚記念勝利で春競馬を締めくくったキャロットファーム。日本の競馬を実質的に牛耳っている社台グループに属する一口馬主クラブの存在感は、今さら多くを語る必要もないだろう。
これまでを振り返っても日米オークスを制したシーザリオ、その息子で菊花賞馬のエピファネイア、桜花賞馬のハープスター、オークス馬のトールポピーや秋華賞を勝ったアヴェンチュラなど、とにかく3歳クラシックの活躍が目立つキャロットファーム。
今年も牡馬はリオンディーズ、牝馬はシンハライトとクラシックの主役級を送り出し、他にも京成杯のプロフェットや京都2歳Sのドレッドノータスといった重賞勝ち馬を出すなど、その勢いは留まることを知らない。
だが、今年の2歳馬のラインナップは「現3歳を超える素質馬揃い」と前評判は極めて高い。あまりにも豪華なため早くも「クラシック独占まであるのでは」という話さえ出ているほどだ。
トゥザクラウン
(牡、キングカメハメハ×トゥザヴィクトリー 栗東・池江厩舎)
キャロットファームが誇る豪華2歳ラインナップの中でも一際輝きを放ち、その中心に君臨しているのが名牝トゥザヴィクトリーの仔トゥザクラウンである。
当サイトの『ドバイワールドC2着の名牝トゥザヴィクトリーの”最高傑作”がついにデビュー!世界最高峰の育成牧場ノーザンファームで『横綱』と評される理由(リンク)』でも紹介されているが、タイトル通り育成先のノーザンファームでは『横綱』と称される大将格。一族の悲願となるクラシック制覇へ、ドバイワールドC2着の名牝が最高傑作を送り出してきた。
グローブシアター
(牡、キングカメハメハ×シーザリオ 栗東・角居厩舎)
キャロットファームの最高傑作といえば、やはり日米オークスを制したシーザリオではないだろうか。そのシーザリオの仔グローブシアターは、早くも2歳チャンピオンの全兄リオンディーズを超える器と評判だ。
「乗り味が良くて牧場では騎乗者を唸らせるほど。当然、目標は来年のクラシックです」と天下のノーザンファームであっても、その序列は極めて高いグローブシアター。順調にいけば今年活躍した兄同様、来年のクラシックを待たずしてのG1制覇があるかもしれない。
エリティエール
(牝、ディープインパクト×ジンジャーパンチ 美浦・大竹厩舎)
どちらかといえば牝馬の活躍が目立つキャロットファームだけに、今年も牝馬の充実ぶりは特筆もの。中でも、BCディスタフを制したジンジャーパンチの仔となるエリティエールは、昨年のクラシックを沸かせ、この春もエプソムCを制したルージュバックの半妹という良血だ。
父がマンハッタンカフェからディープインパクトに替わったことで、オークス2着などクラシック制覇まであと一歩だった姉以上の活躍が期待されるのは当然。ノーザンファームでも「まだ成長途上」と言われながらも「小柄ですが、走り出すとそれを感じさせない大きなフットワーク」との評価。これは典型的な”走るディープインパクト産駒”の特徴だ。