ルヴァンスレーヴJRA賞「最優秀3歳牡馬」の行方は? チャンピオンズC(G1)完勝で大混戦も「ダート馬の冷遇」の歴史
そういった中、今年G1を3勝しダート界の頂点に立ったルヴァンスレーヴは、実績面で大きなアドバンテージがあるといえる。ただし、本馬のようなダート馬が最優秀3歳牡馬に輝いた例は過去に一度もない。
その最大の原因はクラシックを筆頭とする芝G1より、最優秀ダートホースという”逃げ道”があるダートG1が冷遇され、さらにジャパンダートダービーや南部杯といった地方開催の交流G1がそれ以上に冷遇されているからだろう。
典型的な例が2011年のスマートファルコンだ。この年の本馬は、すべて地方交流レースを走って5戦全勝。帝王賞、JBCクラシック、東京大賞典という3つの交流G1を勝利している。
しかし、最優秀ダートホースに輝いたのは、フェブラリーSとジャパンCダート、さらに南部杯と同じくG1を3勝したトランセンドだった。
無論、春と秋のJRAダートG1を勝ち「統一王者」となった意義を考慮すればトランセンドが最優秀ダートホースに選ばれるのは妥当だ。ただし投票内容は285票中、トランセンドが271票と圧倒的な支持を受けたことに対して、スマートファルコンはわずか13票に留まった。同じダートG1・3勝でも、評価に大きな開きがあったということだ。
また、1954年の創設から63年間、ダートのG1級の勝ち鞍だけで年度代表馬になった馬はおらず、最優秀4歳以上牡馬でも2011年のヴィクトワールピサが該当するのみ(正確にはダートではなく当時オールウェザー)。本馬は日本競馬史上初めてドバイワールドカップを制した。これは芝に置き換えると、日本競馬の悲願となる凱旋門賞を勝ったようなものだ。
逆に述べれば、日本を飛び越えて世界の頂点に立ってようやく、ダートの勝ち鞍が芝の勝ち鞍よりも評価されたという見方もできる。