武豊が社台に干された「曰く付き」阪神JF……”引退説”が囁かれた大スランプの原因「ダンスファンタジア事件」とは
結果、前年140勝だった勝ち星が69勝と半減……その後も64勝、そしてキャリア最少となる56勝と一時は”引退説”まで飛び出し、武豊騎手自身も「毎週の競馬が楽しみに思えない時期があった」と当時を振り返っている。
その引き金となったのが、同年の阪神JF(G1)だ。武豊騎手が騎乗したのは、1番人気のレーヴディソールと人気を二分していた2番人気の無敗馬ダンスファンタジア。3番人気のアヴェンチュラでさえ単勝9.9倍と、完全に「二強対決」の様相を呈していたが、ダンスファンタジアはスタートで出遅れると、そのまま引っ掛かって暴走……武豊騎手も成す術なく9着に惨敗した。
この騎乗ぶりに激怒したのが社台グループ創始者吉田善哉の長男であり、社台ファーム代表の吉田照哉氏だったという。
「このレースの少し前に、同じく社台ファーム生産馬のヴィクトワールピサで挑んだ凱旋門賞(G1)があり、武豊騎手は馬群を捌けずに惨敗……もともと落馬負傷の影響を懸念していた社台ファームの関係者は武豊騎手のミスを指摘し、代表の吉田照哉氏からも『ユタカの時代は終わった』と厳しい言葉が飛び出したと言われています。
そして、あのダンスファンタジアの騎乗が”トドメ”になったようで……以後、武豊騎手は社台ファームだけでなく、グループ全体から干されるような格好で本格的なスランプに陥った経緯があります」(競馬記者)
ネット上でも「ダンスファンタジア事件」などと語られている、この出来事。幸い関係は修復傾向にあり、今週末の阪神JFでシェーングランツに騎乗するわけだが、実は武豊騎手が社台ファーム所有馬でG1に参戦するのは2011年のヴィクトリアマイル以来、約7年半ぶりになる。
「ダンスファンタジアの一件以降、武豊騎手への社台ファームからの依頼は目に見えて減少しましたからね。特に武豊騎手にとってキャリア最悪の56勝に終わった2012年は、年間を通じて、わずか3度しか依頼がありませんでした。