「身勝手なサラブレッド殺害」はアメリカでも? サンデーサイレンス最大のライバルを輩出した名種牡馬アリダーの悲運すぎる結末
実際にアリダーには3450万ドル(約37億円)という、一流種牡馬としても破格となる保険金が掛けられている。さらにカルメットファームは、わずかでも資金を稼ぐために人気種牡馬だったアリダーに毎年過剰な数の種付けを行ない、その結果アリダーは数年前から腰を痛めて、種付けを制限せざるを得ない状況にあったことも事実のようだ。
つまり、カルメットファーム側にはアリダーを抹殺する十分な動機があったということだ。
結局、カルメットファームはアリダーの死によって3450万ドルの保険金を受け取ったが、牧場経営の立て直しには至らずに破産している。後年、一部の弁護士や関係者によって、アリダーの死に関する調査が行なわれたが決定的な証拠は見つからず、真実は今なお闇の中に消えたままだ。
いずれにせよ、もしもアリダーがまともな経営状態を保った牧場によって管理されていれば、今頃もっと大きな成功を収めていたことは間違いなく、死に関する事実がどうあれ悲惨な牧場経営に振り回された悲運の名馬であることに変わりはない。
アリダーの死に関しては、今現在も様々な憶測が飛び交っている。だが、事実の解明よりも重要なことは、このような事件が二度と起こらないよう世界中のホースマンが競走馬の生命に対して、高いモラルを保ち続けることだろう。