JRA阪神大賞典(G2)ヴォージュ「大逃げ」再び? 遅咲きステイヤーがついに開花か
3月17日に開催される阪神大賞典(G2、芝3000メートル)に重賞初制覇を目指すヴォージュ(牡6歳、栗東・西村真幸厩舎)が出走する。好走の可能性を探ってみる。
ヴォージュは前々走のステイヤーズS(G2、芝3600メートル)で初めての3000メートル超えのレースに挑戦。3角からのロングスパート合戦となり、2番手を追走していたこの馬にとっては厳しい展開となってしまい、11着に敗れた。
しかし、明け6歳になった1月の万葉S(オープン)で今度は3000メートル戦に挑戦。見事逃げ切って優勝した。鞍上はテン乗りの和田竜二騎手。スピードの違いでハナを奪い、2番手のグローブシアターとは6、7馬身差、グローブシアターと後続集団は10馬身以上の差がある大逃げ。直線に入っても快調に飛ばし、ゴール前ではさすがに2着馬にハナ差まで詰め寄られたが勝ち切った。
2着だったのが昨年の菊花賞(G1、3000メートル)で3着に好走した明け4歳のユーキャンスマイル。同馬は万葉Sでも1番人気だったが、続くダイヤモンドS(G3、芝3400メートル)でも1番人気となり、堂々と重賞初制覇を達成した。次走は天皇賞・春(G1、芝3200メートル)を予定しているステイヤー界のニューヒーロー。ヴォージュがユーキャンスマイルを負かした意義は大きい。
しかも、万葉Sはハンデ戦。ユーキャンスマイルの53キロに対してヴォージュは55キロのトップハンデだった。陣営は自信を持ってこの阪神大賞典に送り出してくるだろう。西村真幸調教師は本追い切り後「先週は併せ馬でしっかりやったし、状態はいいと思う。前走のような競馬ができればいい」と意気込みを語っている。この阪神大賞典でも大逃げを打って粘りに粘ってくれるのだろうか。
デビューは3歳の4月、未勝利戦からのスタートと遅かった。3歳時は主に2000メートル戦を中心に使われ3勝を上げる。父が凱旋門賞(G1、芝2400メートル)で不利を受けながらも僅差の2着だったナカヤマフェスタだからだろう。2000メートル超えのレースも何度か走ったが結果は出なかった。4歳春には1600万下特別を勝ち上がりオープン入り。重賞にも挑戦したが頭打ち傾向だった。
5歳になった昨年、再び2000メートル超えのレースに挑戦。2600メートルの札幌日経OP(オープン)で久々の勝利を上げる。これもこの馬のベストパフォーマンスの1つだ。2番手につけていた鞍上藤岡康太騎手は3角で先頭に立ち、直線では後続を突き放した。ステイヤーズSで2着となるアドマイヤエイカンに3馬身半差をつける完勝。ようやく父ナカヤマフェスタの血が開花してきたのだろうか。こうしてステイヤーの道を歩むことになり、今回は重賞初制覇の期待がかかる。