アーモンドアイ「弱点」はアウェーの洗礼!? ドバイターフ(G1)へ国枝栄調教師が語る「懸念」と「ドバイのルール」に飲まれた日本最強馬
「ただ、この馬の弱点というか、競馬のとき馬場に入れてキャンターに行くまでのほんの短い時間に馬がチャカチャカすることがある。秋華賞の馬場入りがそんな感じだったので、ジャパンCは先入れさせてもらったんだ」
昨年のジャパンCで見せた鮮やかな好位抜け出しを振り返っても一見、完全無欠の存在にも見える
アーモンドアイ。だが、国枝調教師の言葉通り、レースに向かう直前、ほんのわずかな間だが落ち着きを失ってしまうシーンがあるようだ。
「一番厄介なのが、スタートでの『出遅れ』ですよね。実際に馬場でチャカ付いた秋華賞では、発馬で半歩ほど遅れています。ルメール騎手が上手く対応したおかげで、中団やや後方(11番手)からの競馬になりましたが、上手くスタートを切って好位(3番手)から進められたジャパンCと比較すれば、その差は明白です。
デビューから桜花賞(G1)までの4戦連続ゲートで出負けしていますし、同世代なら強烈な末脚で封じ込められましたが、相手が世界の強豪となると、どうでしょうか。精神面での課題なので、環境が大きく変化することも気になります」(競馬記者)
また記者曰く、海外でレースする上での大きな壁は「環境面の変化」の他に「現地のルール」があるという。
「2016年に日本からドバイシーマクラシック(G1)に挑んだドゥラメンテも『日本の最強馬が世界に打って出る』と、今のアーモンドアイと同じような楽勝ムードでした。
世界的にも大きく注目された一戦でしたが、レース直前に落鉄したものの打ち直しが認められず”素足”で出走する、日本では考えられない展開。その結果、英国のポストポンドから2馬身差の2着に敗れました」(同)
蹄鉄は、いわば野球のスパイクのようなもの。現地のルールとはいえ、ドゥラメンテも本来の能力が発揮できなかったというわけだ。まさに「アウェーの洗礼」を受けた形だったが、レース直前に繊細さを見せるアーモンドアイが”二の舞”にならない可能性がないとは言い切れない。
「ドバイでは当然、レースに向かうまでの流れが日本とは異なりますし、その辺りは陣営にとっては大きな課題になりそうです。過去にゲートの先入れが認められたケース(2012年アルクオーツスプリントのエーシンヴァーゴウなど)はありますが、アーモンドアイにも特別な配慮をしてもらえるかはわかりませんね。
距離が久々に2000m以下になって忙しくなる点も気になりますし、ジャパンCのときのように落ち着いてレースに向かえる環境が整えばいいんですが」(同)
「現地に着いてから、調教でキャンターに行くまでの状況をどう対処するか」
弱点克服へ、そう課題を語った国枝調教師。救いは、例え出遅れてもメイダン競馬場の最後の直線が長いことか。鮮烈な世界デビューを飾るためにも、秋の凱旋門賞(G1)で世界女王エネイブルと雌雄を決するためにも、ここは”順当な結果”を残したい。