【徹底考察】宝塚記念(G1) キタサンブラック「華麗なる逃走劇の裏に潜む『スローペース同盟』武豊は再び”呉越同舟の関係”を築けるか?」

キタサンブラック(競馬つらつらより)

『考察』

 菊花賞(G1)に続き、春の天皇賞(G1)も制したことで超一流馬の仲間入りを果たした感のあるキタサンブラック。

 これまでもディープインパクトはもちろん、ビワハヤヒデやヒシミラクルなどが、菊花賞を制した翌年の天皇賞・春から宝塚記念に駒を進め、見事に連勝している。ちなみに菊花賞と天皇賞・春を連勝して宝塚記念で敗れた最も新しい例は1990年のメジロマックイーンまで遡る。同門ライアンの魂の激走に屈したが、それでも2着だった。

 これだけを見ても、菊花賞と天皇賞・春を制したキタサンブラックが、現在の競馬界でどれだけ覇権を握っているのかが窺い知れる。オーナー北島三郎氏の人気があったとしても、宝塚記念ファン投票1位は伊達ではない。

 だが、逆に述べれば逃げ馬となるキタサンブラックにとって、注目や人気は集めれば集めるほど”重い枷”となる。

 例えば、イスパーン賞(G1)を10馬身差で圧勝したエイシンヒカリが、世界1位として挑んだプリンスオブウェールズS(G1)で徹底マークに遭って最下位に沈んだことは記憶に新しい。無論、最大の敗因は不良馬場と言われているが、それでももしエイシンヒカリが、まったくノーマークの逃げ馬だったなら結果は違っていたはずだ。

 主戦の武豊騎手で述べれば、ダート王のコパノリッキーがその典型か。昨年にフェブラリーS(G1)を連覇してダート路線の覇権を握りかけたが、その年の秋からはライバルのホッコータルマエの徹底マークに遭い、自分の競馬ができずに惨敗が続いた。だが、惨敗続きで他馬のマークが緩くなった今年のかしわ記念(G1)では、あっさりと3馬身差の復活勝利を挙げている。

 逃げ馬とはそういう宿命を背負ったものであり、それはキタサンブラックとて決して例外ではない。

 だが、その上でキタサンブラックには隠れた「成功の要因」がある。それはその地味な血統から来る人気のなさだ。

 G1とG2をそれぞれ2勝して10戦6勝、それも日本ダービー以外はすべて馬券圏内に好走しているキタサンブラックだが、実は未だ1番人気の経験がない。それも前走の天皇賞・春が初の2番人気で、デビュー戦で3番人気だったことを除けば、あとは常に4番人気以下の伏兵として扱われてきた。

 これがマークされればされるほどキツイ逃げ馬にとっては、意外なほど効果が大きい。

 実際に前走の天皇賞・春も2番人気だったもののマークがきつかったのは、やはり1番人気のゴールドアクターであり、逃げたキタサンブラックは2番手のカレンミロティックとスローペースの共同戦線を張り巡らせ、見事後続を完封している。

 それは2走前の大阪杯(G2)も同様で、やはり2番手のアンビシャスと、もっといえば昨年のセントライト記念(G2)でもミュゼエイリアンと共同戦線を張り巡らせ、ワン・ツーゴールを決めている。

 逃げ馬2頭で共謀してスローペースを作り、後続を完封。これこそが華麗なる逃走馬キタサンブラックの隠された必勝パターンである。

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