北村宏司騎手がリハビリから実戦復帰!復活を目指す師弟の「絆」と藤沢和雄調教師の「とにかく勝て」に秘められた意味とは


 1月の中山開催を終えて、2月を迎えた美浦トレセン。開幕から出遅れた藤沢和厩舎はまだ新年の”初星”が出ていない状況だった。そんな厳しい中、早朝の坂路コースで藤沢和調教師がわざと大声を上げたのだ。

「今日は”今年未勝利”の厩舎から順に馬場入りしようじゃないか。まずは0勝の藤沢厩舎!」

 周囲の報道陣を凍りつかせる自虐ネタである。さらにこの週の東京新聞杯(G3)に出走予定だったレッドスパーダの様子を聞かれて「中山だと粘れるけど、東京だと誘導馬だよ。3年前に(このレースを)優勝してるけど、誰も覚えちゃいないよ。なあ、ヒロシ」と無茶ぶり。

 突然話を振られた北村宏騎手は言葉に詰まりながらも「追い切りはさすがと思わせる動きです。長期休養明けを一度使って変わってくるはずです」と必死に師匠をフォローしていた。

 結局、レッドスパーダは4着に敗れたが、その日の他のレースで藤沢和厩舎の初勝利を挙げた北村宏騎手。師弟の信頼関係が伝わってくる一幕だった。

 あれから3年、先週2度目の休養から復帰を果たした北村宏騎手が騎乗したのは5鞍。その内4鞍が、藤沢和厩舎が用意した馬だ。

 いくら現役最多勝を含め、これまで数々の成功を収めてきた関東の大物調教師でも、馬主の了解なしに騎手を決めることはできない。中には、北村宏騎手の状態に不安を覚えて難癖をつけた馬主もいるかもしれない。

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