JRAオークス(G1)デアリングタクト「牝馬三冠」の可能性に迫る。無敗の女王はアーモンドアイを超えられるか?

 今週はいよいよ3歳牝馬クラシック第二戦の第81回優駿牝馬(オークス)だ。無敗で桜花賞を制したデアリングタクトがこのオークスも勝てば、それはJRAにグレード制が誕生してから初の快挙。それ以前にさかのぼっても1957年のミスオンワードなのだから、いかに牝馬戦線が過酷な道なのかわかるだろう。

 また今年の3歳牝馬戦線は、残念ながらデアリングタクトに替わって主役となるような逸材がいない。

 レシステンシアは確かに強いが、チューリップ賞も桜花賞もNHKマイルCも完敗しており、現時点では役者としては一枚落ちる。そういった意味でも、デアリングタクトが無敗の二冠馬となり牝馬三冠へ王手をかけることが、この3歳牝馬戦線が最も盛り上がる結果と言えよう。

 ではそのデアリングタクトがオークスを勝つだけでなく、秋華賞も制して牝馬三冠を達成することができるのか? 時期尚早という意見もあるだろうが、あえてその可能性を検証してみたいと思う。

 秋華賞が創設されてから誕生した牝馬三冠馬はスティルインラブ、アパパネ、ジェンティルドンナ、そしてアーモンドアイの4頭だ。この4頭に共通する要素をまとめてみよう。


■成績と勝ち方
 まず4頭ともオークスを含めて4勝以上、桜花賞では2着と0.1秒以上の着差。さらにレースの上がりも3位以内を記録している。デアリングタクトは桜花賞での条件をクリア。次のオークスで必要となるのは、まず上がり最速だ。4頭はオークスを全馬とも上がり最速で勝利。着差よりもこれがポイントで、デアリングタクトはオークスを上がり最速でクリアする必要がある。同馬は桜花賞を上がり最速で勝利しているので問題なさそうだが、上がりは距離適性が影響する部分でもあり未知数。その勝ち方に注目したい。


■騎手
 現在主戦を務める松山弘平騎手は、デビュー12年目の中堅。今年は過去最高のペースで勝利しており、このままいけば昨年の91勝を超えて初の100勝も見えている。過去の三冠馬4頭の鞍上は、スティルインラブの幸英明騎手、アパパネの蛯名正義騎手がデビューから三冠達成まで騎乗し続け、アーモンドアイのクリストフ・ルメール騎手もG1レースはすべて騎乗、ジェンティルドンナのみ複数の騎手が騎乗しているが、基本的に岩田康誠騎手が主戦だった。デアリングタクトも松山騎手が騎乗し続けることが重要。もし秋華賞で乗り替わりとなれば、それは危険なフラグかもしれない。

■調教師
 4頭の調教師はすべて、秋華賞を勝つまでにJRAのG1レースを8勝以上していた名伯楽。大一番で勝つための仕上げを熟知しており、その経験は三冠がかかった秋華賞でも大いに活きたはず。デアリングタクトを管理する杉山晴紀調教師はまだデビュー5年目の若手。JRAのG1レースも同馬で初勝利となっており、経験という意味では過去の三冠達成調教師に劣る。さらに3頭の牝馬三冠を達成したノーザンファームのバックアップも望みにくいのも懸念要素だ。

■ライバル
 仮にオークスを勝利し、順調に夏を越したとなれば、最大の壁はやはりライバルだろう。春からの上積みが見込めそうな実績馬、そしてどんな夏の上がり馬がいるのか。現状を見てみると、もっとも可能性を感じるのはデゼルだろう。管理する友道調教師はもともと「秋には……」と、春より秋での活躍を見込んでいたこともあり、現時点での完成度はデアリングタクトに劣る。しかしながらデビュー2戦で見せたインパクトは大きく、キャリアが少ないことを加味すれば今後の可能性を大いに感じる素質馬だ。ただし秋華賞のデゼルに関しては鞍上次第といっていいだろう。

 桜花賞2着、NHKマイルC2着のレシステンシアは2000mに不安を感じるし、その他の桜花賞とオークス組は劣る印象だ。他にはオークスに間に合わなかったものの、この夏で一気に開花しそうな血統馬はちらほら見かけるが、デアリングタクトと比較するとやはり1枚も2枚も落ちる。結論から言うとデアリングタクトがオークスを勝利すれば、現時点で三冠達成の大きな壁となるようなライバルは見当たらない。


■レース数とローテーション
 過去の三冠馬4頭は秋華賞までにキャリア5~8戦。直行のアーモンドアイを除き3頭がトライアルのローズSを叩いて秋華賞に挑んでいる。デアリングタクトはオークス終了時点でキャリア4戦。秋華賞前にトライアルを挟むかは不明だが、直行した場合キャリア4戦はもっとも少ない。ただキャリアが多いと疲労が蓄積され、さらに上積みが少ないケースもある。多いよりは少ない方が圧倒的にプラスだろう。そして秋華賞前に一度レースを使うにしても、ローズS以外はマイナスだ。

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