武豊「ゴール前」でガッツポーズあるか!? ジャックドールと重なる7年前のマジック

ジャックドール 撮影:Ruriko.I

 日本では阪神JF(G1)が行われる11日、香港のシャティン競馬場では香港ヴァーズ、香港スプリント、香港マイル、香港カップの4つのG1レースからなる「香港国際競走」が開催される。

 これまでもステイゴールド、ロードカナロア、モーリスなど、日本の名馬たちが制してきた歴史ある海外G1だ。特に近年は、毎年のように多くの日本馬が参戦することもあって、この日を楽しみにしているファンも多いのではないだろうか。

 なかでも、メインを飾る香港カップ(G1)は2019年から日本馬が3連勝中と相性の良いレース。今年も日本馬5頭が参戦するため、4連覇の期待は高まるばかり。そんな舞台で、G1初制覇に挑むのがジャックドール(牡4、栗東・藤岡健一厩舎)である。

 前走の天皇賞・秋(G1)では、パンサラッサが刻んだ1000m通過57秒4のハイペースを道中4番手から直線で懸命に追うも4着。春の大阪杯(G1)5着に続き、またしても大舞台で涙を飲んだ。

 ただ、レコード勝ちを決めた金鯱賞(G2)ではレイパパレを、札幌記念(G2)ではパンサラッサを破ったように、芝の中距離路線でトップクラスの実力を持っているのは確か。地元の香港馬たちやその他海外勢の中にも大本命と目されるような抜けた馬は不在ということもあり、G1初制覇の可能性は十分あるだろう。

武豊騎手 撮影:Ruriko.I

 また、今回は以前まで主戦を務めていた藤岡佑介騎手から武豊騎手へ乗り替わり。海外での騎乗経験が豊富なレジェンドを起用するあたり、是が非でもタイトルを獲りたい陣営の勝負気配が窺える。

ジャックドールと重なる7年前のマジック

 そして武豊騎手が騎乗することは、これ以上ないプラスとなりそうだ。実際、2015年の香港カップをエイシンヒカリとのコンビで制したが、見事な騎乗でパートナーをG1初勝利に導いた実績があるのだ。

 スタート後すぐにコーナーがあるため、内枠が有利といわれるシャティンの芝2000mで、13頭中11番枠と外目の枠だったエイシンヒカリ。抜群のスタートを決めると、鞍上の武豊騎手は迷いなくハナを奪う。

 道中を軽快に逃げる人馬の呼吸はピタリ、最後の直線を迎えても抜群の手応えを残したまま逃げ切り態勢。そこからは後続を突き放す独壇場でゴールを駆け抜けた。レース後のコメントで「残り100mで勝利を確信した」と振り返ったように、ゴールを待たずにレジェンドからガッツポーズが飛び出たのも頷ける圧巻の逃走劇だった。

 香港カップ前の天皇賞・秋ではハナを奪えず、持ち味を発揮できないまま9着と敗れていたエイシンヒカリだが、このときは得意の形に持ち込めなかったことが響いた。「香港は先手が取りやすく、この馬にとっては日本より条件が合う」と鞍上が目論んだ通りのまさに作戦勝ち。前走の敗戦を糧に見事な軌道修正をしたレジェンドの好判断が、異国の地でのG1タイトル初戴冠を手繰り寄せたといえるだろう。常人離れした体内時計の持ち主といわれる武豊騎手のペース配分の正確さは、多くの競馬ファンの記憶に今も残っているはずだ。

 あれから7年。武豊騎手が初コンビを組むジャックドールもまた、天皇賞・秋を敗れた臨戦過程、逃げ・先行脚質、G1未勝利など、エイシンヒカリに重なる共通点を持つ。

 ジャックドールにとっても、今後の将来を左右する飛躍の舞台となる可能性があるだけに、当時を再現するような名手の好騎乗に期待したい。

ハイキック熊田

ウオッカ全盛期に競馬と出会い、そこからドハマり。10年かけて休日を利用して中央競馬の全ての競馬場を旅打ち達成。馬券は穴馬からの単勝・馬連で勝負。日々データ分析や情報収集を行う「馬券研究」三昧。女性扱いはからっきし下手だが、牝馬限定戦は得意?

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