ディープインパクト「最終世代」の明と暗、桜花賞で有力ライトクオンタムを輩出も、気になる「未デビュー」2頭の現在地

 今週末の大阪杯(G1)が終わると、来週には春のクラシックシーズンが到来する。

 4月9日に開催される牝馬クラシック第1弾の桜花賞(G1)で最も注目を集めるのは、2歳女王のリバティアイランドだろう。前走の阪神ジュベナイルフィリーズ(G1)で見せた圧巻のパフォーマンスを再現すれば、あっさりクラシック一冠目を手中に収める可能性は高そうだ。

 そのリバティアイランドの対抗格と見られているのが、武豊騎手とのコンビで臨むライトクオンタムである。デビュー2戦目で牡馬相手のシンザン記念(G3)を制覇。まだ底を見せていないという点での魅力も十分ある。

 そのライトクオンタムの父は無敗の三冠馬で種牡馬としても不動の地位を確立したディープインパクト。国内で血統登録された6頭いる最終世代のうちの1頭だ。泣いても笑ってもディープインパクト産駒がクラシックレースに出走するのは今年で最後となる。

 2008年に誕生した初年度産駒からライトクオンタムらが生まれた20年まで、13世代に渡り産駒を送り出してきたディープインパクト。初年度産駒のマルセリーナがいきなり桜花賞を制覇すると、昨年の菊花賞(G1)をアスクビクターモアが制するまで12世代全てでクラシックホースを輩出してきた。

 もしライトクオンタムが桜花賞、もしくはオークス(G1)を勝てば、全13世代によるクラシック制覇が実現するが、クラシック候補は他にもいる。それが2月のきさらぎ賞(G3)でフリームファクシの2着に食い込み、次走に青葉賞(G2)を予定している牡馬の代表格オープンファイアだ。

 そのローテーションからも分かる通り、春の最大目標は日本ダービー(G1)ということになるだろう。すでに前人未到となる7頭のダービー馬を輩出しているディープインパクトだが、8頭目の快挙達成があるかにも注目が集まる。

 6頭しかいないラストクロップのうち2頭がクラシックを狙える位置にいるが、実は勝ち上がっているのもこの2頭だけである。

 勝ち上がりに最も近いのが昨年12月のデビュー戦で2着した牝馬のメズマライジングだろう。2戦目を前に一頓挫あって現在は放牧に出されており、桜花賞はもちろんオークスの出走も絶望的となっている。

 ただし、初戦にクビ差で敗れた相手が後に弥生賞ディープインパクト記念(G2)で3着に好走したワンダイレクトだけに、ポテンシャルの高さは間違いない。順調さを欠いたのは痛いが、夏以降の巻き返しに期待したいところだ。

 同じく牝馬のエレガントギフトは年明け1月にデビュー。初戦は7着に敗れたが、今月19日の2戦目で3着に入り、しっかり着順を上げてきた。2戦ともにスタートで出遅れ後方からの競馬を強いられているが、最後は鋭い末脚を披露しているように切れ味は父譲り。初勝利も時間の問題だろう。

気になる「未デビュー」2頭の現在地

 そして気になるのが、未デビュー組の2頭の現在地だ。陣営はそろって基礎体力の強化を優先したため、デビューこそ果たせていないが、期待値は極めて高い。

 米G1勝ち馬を母に持つチャンスドゥアスクは、昨年9月の段階ですでにゲート試験には合格していた。しかし、成長を促すため再度放牧に出され、1月に再入厩。その後は坂路を中心にじっくりと調教されてきた。

 追い切り時計などを見てもまだ良化の余地はありそうだが、4月15日の阪神未勝利戦(牝馬限定、芝2000m)で、岩田望来騎手を背にデビューを予定している。既走馬相手となるが、一発回答を出しても不思議ではない。

 そんなチャンスドゥアスクと同時期のデビューを目指すのは、母がG1・3勝を誇るスイープトウショウのスイープアワーズ。こちらも昨年12月にゲート試験をパスしたものの、体力不足で再度放牧に出されていた。

 2月中旬には栗東に帰厩したが、その後の調教時計を見てもパワー不足の感は否めない。それでも徐々に時計を詰めており、今週末にもデビューが予定されているという。血統的に最も注目度が高かった存在だけに、その走りには注目が集まる。

 ライトクオンタムがオープンファイアを僅かにリードしている状況のラストクロップによる出世争い。未デビュー組2頭を含めた他の4頭が追い付き、追い越す日が来るのか。いずれにしてもディープインパクト最終世代によるクラシックでの最後の走りをしっかりと目に焼き付けたい。

GJ 編集部

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