その差「4倍弱」ノーザンファーム包囲網を返り討ち!4歳低レベル説を跳ね返したベラジオオペラが殊勲のG1ゲット…「博打」に成功した横山和生の度胸にも絶賛の声
土曜深夜に行われたドバイワールドカップデーの余韻が残る中、日曜阪神の大阪杯(G1)は2番人気に支持されたベラジオオペラ(牡4、栗東・上村洋行厩舎)が優勝した。
騎乗した横山和生騎手は、2年前の宝塚記念(G1)をタイトルホルダーで制して以来となるG1・3勝目をマーク。本馬を所有する林田祥来オーナー、管理する上村調教師にとってもこれが嬉しいJRA・G1初優勝だった。
4歳世代ベラジオオペラが殊勲の大勝利
「ダービーの悔しさをずっと忘れられなくて、絶対今回はこの馬と一緒に勝ちたいと思っていたので最高に嬉しいです」
最高の舞台で悔しさを晴らした横山和騎手が触れたように、昨年の日本ダービー(G1)はダービージョッキーまであと一歩のところまで迫った。初コンビだった横山和騎手に導かれたベラジオオペラは、最後の直線で上がり最速の末脚を駆使して上位3頭とタイム差なしの4着に惜敗。大阪杯には、このとき先着を許したタスティエーラ、ソールオリエンスも出走していたが、同世代のライバルたちへのリベンジにも成功した。
「スタートから出していったのを見て、昨年の有馬記念(G1)でスターズオンアースに騎乗したC.ルメール騎手を思い出しました。これはゲートが開く前から意識していないとできない芸当です。6枠11番と真ん中より外目でしたから、道中で外を回るリスクがありましたけれど博打に勝ちましたね。この奇策が見事にハマりました。
クビ差2着に敗れたローシャムパークは、戸崎圭太騎手が馬のリズムを優先させたスタートで後ろからになりましたが、スローペースで流れていたため、途中でポジションを押し上げていった結果の敗戦。戸崎騎手なりに考えた好騎乗だったのですが、結果的に横山和騎手の覚悟が最後の最後で効果を発揮しましたね」(競馬記者)
実際にレース映像を見ると、両馬の通った進路や距離にはクビ差以上の差。やることはやった戸崎騎手だが、今回ばかりは相手が一枚上手だったか。
そして、王道路線の芝重賞で年長の世代を相手に連敗続きだった4歳世代にとって、ベラジオオペラがG1を優勝したことの意味は大きい。春のクラシックを分け合ったソールオリエンスやタスティエーラが凡走したものの、ニューヒーローが誕生。「4歳低レベル説」も結論はひとまず先延ばしとなった。
また、生産牧場に目線を移しても鎬を削るライバルであるノーザンファームVS社台ファームの対決は、非常に見応えがあった。
前者は今年の大阪杯に出走した16頭中11頭が生産馬という大攻勢。それも質より量どころか勝ち負けの期待出来そうな馬が複数というなかなかの布陣である。こちらについては、ネットの掲示板やSNSで一部のファンから「これじゃノーザンファームの運動会」「お陰でロードデルレイが出られなくなった」といった不満の声すら見られたほどだ。
しかし、結果的に出走馬が3頭の社台ファーム生産馬が上位(ベラジオオペラ=1着、ルージュエヴァイユ=3着、ソールオリエンス=7着)を占め、ノーザンファームはローシャムパークが2着に食い込んだものの、8着スタニングローズ以降の9頭中8頭が凡走。その中にダービー馬タスティエーラ(11着)も含まれていたのだから、想定外の敗戦だったかもしれない。
その差「4倍弱」の出走馬を送り込んだライバルを少数精鋭の社台ファームが返り討ちにし、何かと心もとなかった4歳世代が「低レベル疑惑」を払拭した大阪杯。やはり競馬はそれぞれの世代の生産馬がバランスよく勝ってこそ盛り上がる。
これから本格化する春のG1シーズン。まだまだ番狂わせの大波乱もあるはず。4歳世代や社台ファームの健闘に期待したい。
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