JRA・M.デムーロが「何百回と見直した」”悪夢”の皐月賞……「もうあんな思いはしたくない」と語る3年前の出来事とは
「あのレースでデムーロ騎手が騎乗していたのは、2歳王者のリオンディーズ。結果的には4着で入線しましたが、最後の直線で斜行してしまい、5着降着になりました。
この結果、デムーロ騎手は2週間の騎乗停止処分を受けましたが、本人が悔やんでいるのは『それ』だけではないようですね」(競馬ライター)
2016年の皐月賞は1000m通過が58.4秒というハイペースだった。気性面に不安のあったリオンディーズは2番手を進んでいたが、途中から我慢できずに先頭へ。デムーロ騎手はそのまま強引に押し切りを図ったが、最後の直線で力尽きた。その際、ヨレて斜行してしまったのだ。
ちなみに勝ち時計は、レコードに0.1秒まで迫るものだった。
デムーロ騎手は「彼は本当に素晴らしい馬だった」と、リオンディーズに最大級の賛辞を送っている。その上で「当日の風やいろいろなことが重なってうまく乗れなかった。それは本当に悔しかったし、本当に申し訳なかった」と悔しさを露にしている。
あれから3年。奇しくもデムーロ騎手が騎乗するアドマイヤマーズは、リオンディーズと同じ2歳王者だ。そして、かつての相棒であり、最大のライバルであるサートゥルナーリアは、リオンディーズの弟にあたる。
今週行われた皐月賞の共同会見で、皐月賞について問われたデムーロ騎手は「今までいい馬に乗っていますが、何回も失敗した」と語っている。その脳裏には、当然リオンディーズとともに挑んだ3年前の苦い思い出があるはずだ。
JRAの騎手の中で「最も浮き沈みが激しい」といわれるデムーロ騎手。喜怒哀楽を素直に表現し、絶好調時はまさに無双の如き大活躍を見せるが、逆に不調時は長いトンネルに入ることも珍しくない。
ちなみに現在は1月の日経新春杯(G2)以来、重賞勝利から遠ざかっている”潜伏モード”。だが、とにかく”気持ち”で乗るジョッキーだけに、相性の良い皐月賞で突然”目覚める”可能性はあるはずだ。
3年前のリベンジへ――悲しみを乗り越え、喜びを爆発させる舞台は整っている。