JRA皐月賞(G1)サートゥルナーリア「ぶっつけ勝利」に問われる「王道」の意義。弥生賞&スプリングSで優先出走権「全馬2ケタ着順」で壊滅
若葉S(OP)を勝ったヴェロックスこそ気を吐いたものの、弥生賞馬のメイショウテンゲンが15着、2着馬のシュヴァルツリーゼが12着、3着馬のブレイキングドーンが11着と目も当てられない結果……。
一方のスプリングS(G2)組も唯一の出走となった2着馬ファンタジストも13着。かつて「王道」といわれたトライアルで出走権を得た馬たちが、いずれも二ケタ着順に沈むという散々な結果となった。
「一昔前は3月に行われる弥生賞とスプリングSが『王道』で、馬券もこれらをステップにした馬たちが中心でした。ですが、近年は完全に傾向が変化していますね。
顕著なのが2月の共同通信杯(G3)組で、ここ10年で4頭の勝ち馬を出している他、今年もダノンキングリーが3着に善戦しています。
そして今年は桜花賞のグランアレグリアに続き、サートゥルナーリアが一度も前哨戦を挟まずに優勝。来月からいよいよ令和元年となりますが、令和の競馬は『ローテーション』の面で、平成の競馬から大きく変化するのかもしれません」(競馬記者)
弥生賞やスプリングSを使わないメリットを挙げるとすれば「消耗度」という点になるのだろうか。弥生賞やスプリングSを経由して皐月賞で馬券圏内になった馬も多くいるが、そのほとんどが敗れた馬、つまりは「余力」を残していた馬たちだ。
逆にスプリングSと皐月賞を連勝したのは2013年のロゴタイプが最後。弥生賞に至っては2010年のヴィクトワールピサまで遡る。
「桜花賞に目を向けても、近年は圧倒的な単勝支持を得た1番人気が次々と敗れ『魔の桜花賞復活』と言われていますが、ここ3年のソウルスターリング、ラッキーライラック、ダノンファンタジーはすべて、弥生賞と同週のチューリップ賞(G2)を勝った馬……。見方によっては『王道トライアルを勝たない方がいい時代』と言えるのかもしれません」(同)
1986年に史上初の牝馬三冠を達成したメジロラモーヌは、同時にすべてのトライアルも勝利する、いわば”完全”三冠制覇だった。
それから32年後となる昨年、アーモンドアイは逆にトライアルを一度も使わずに史上5頭目の牝馬三冠馬となっている。こちらも史上初だったようだ。
そして今年、”ぶっつけ本番”で皐月賞を勝ったサートゥルナーリアが、仮にトライアルを一度も使わずに三冠すれば、こちらも牡馬として史上初となる。
すでに次走は日本ダービー(G1)へ直行することが濃厚なサートゥルナーリア。秋にどういったローテーションを歩むのかも注目だ。