【徹底考察】札幌記念(G2) モーリス「示すのは『進化』か『限界』か……新たな船出は、決して順風満帆ではない」
≪結論≫
2000m以上のG1でも結果を残している過去の統一マイラーと能力的に遜色ないモーリスであれば、今回の札幌記念でも能力でカバーする可能性は極めて高い。血統的にも額面上、中距離は歓迎でパフォーマンスをさらに向上させる可能性さえある。
だが『考察』で述べた通り、前走の安田記念の低調な走りは大きな不安材料だ。特に距離が伸びれば伸びるほど折り合いの重要性は比例して増加し、その折り合いを欠いてしまった前走の内容が「たまたま」でなければ、2000mでは”致命傷”になるかもしれない。
その時の安田記念のペースは最初の3ハロンが「35.0」秒で、1000mの通過が「59.1」秒。安田記念としては遅いペースだが、2000mの札幌記念になるとさらに遅くなる可能性も十分にある。
ちなみに昨年の札幌記念は「35.1」―「58.9」秒と、モーリスが折り合いを欠いた安田記念とほぼ同じペース。小頭数でこれとった逃げ馬もいない今年の場合は、さらに遅いペースになる可能性が高く、それは同時にモーリスが掛かる可能性を増幅させる。
だが、折り合いをつける上で大きなウエイトを占める「騎手」が、香港No.1騎手のJ.モレイラに乗り替わったことは明らかなプラスだ。ベリー騎手を責めるつもりはないが、モレイラ騎手とのコンビで挑んだチャンピオンズマイルの折り合いは完璧だった。一度掛かった馬はクセがつくので確実に大丈夫とはいえないが、それでも手の合う騎手が乗るのは心強い。
見せるのは「進化」か「限界」か。マイル王の復権に期待したい。
(監修=永谷研(美浦担当))