武豊とマテラスカイ「謎」の3年ぶり芝挑戦の舞台裏。「無謀な挑戦」の声も、競馬界のパイオニア森秀行厩舎は“一番時計”で色気十分
記者の話によると、日本と米国のダートは大きな違いがあり、ブリダーズCスプリントが行われる米国のダートは、感覚的には日本の芝に近いという。
というのも、同じダート1200mで比較すると日本のJBCスプリント(G1)は、ほぼ毎年1分10秒を超える時計で決着しているが、米国のブリダーズCスプリントは1分8秒台。ならば、毎年1分7、8秒で決着する芝のセントウルSの方が感覚的には近いというわけだ。
「そうとわかっていても、普通はなかなかできる選択ではありません。しかし、それをやってしまうのが森厩舎。それも、ただ今回も本番を見据えた“捨てレース”ではなく、陣営が『(芝の)適性はあると思う』と色気を持っているから驚きです」(同)
確かにマテラスカイの父Speightstownには、ダート重賞勝ち馬ながらNHKマイルC(G1)でも2着したリエノテソーロがいる。スプリンターズS(G1)出走を予定しているモズスーパーフレアも、バリバリの芝スプリンターだ。マテラスカイが芝でいきなり能力を発揮しても驚けない血統背景がある。
「いい形でアメリカに向かいたい」
陣営が見据えるのは、あくまで「次」だが、1週前追い切りでは栗東の坂路4ハロンで50.4秒の一番時計を叩き出す抜群の動き。状態面に抜かりがないだけに、ダート同じように先手を取れれば、開幕週の馬場コンディションが大きな味方になる可能性もある。
百戦錬磨の武豊騎手も当然、その辺りは織り込み済みだろう。春のスプリント王ミスターメロディら相手はそろったが、抜群のスタートセンスから好ダッシュを決めれば、日本に思わぬ“置き土産”を残すことになるかもしれない。