「5着に入っても300円」武豊騎手も問題視する地方競馬と中央競馬の賞金「格差」わずか2日間で今年の収入を稼いでしまった高知の名手・永森大智騎手はJRAに移籍するのか
さらに、仮に取り分が賞金の約5%であることを踏まえて今回の永森騎手の成績で当てはめた場合、WASJの第3位として得た100万円をレースの賞金に換算すると、2000万円の賞金額になる。
これに先述したレース賞金1650万円をプラスすると合計3650万円。これは永森騎手が今年になってここまで稼いだ3709万5000円に匹敵する額だ。言い換えれば、永森騎手は今年508鞍の合計賞金とほぼ同額を、わずか2日間で手にしたことになるのだ。
ギャンブルをする人は派手な大勝ちをした際「真面目に働いているのが馬鹿らしくなる瞬間」を経験したことがあるかもしれない。もしかしたら、永森騎手もそんな心境に陥ってもおかしくはない。
それほど高知競馬とJRAとの「賞金格差」はあまりに大きく、プロとして僅かでも高い賞金の獲得を求めるのは当然の心理だからだ。
確かに地方でも賞金額が充実した開催場は存在しており、例えば現在船橋を中心に211勝を上げ、地方競馬の全国リーディングを独走している森泰斗騎手の獲得賞金は、合計6億円を超えている。だが、それでもJRAリーディングで128勝を上げている戸崎圭太騎手の22億円の半分にも満たないのが現状だ。
それほどJRAは賞金体系で地方競馬を圧倒している。もっといえば、JRAは世界各国からトップ騎手が進んで集まるほど賞金額が充実した、世界でも最高峰の高級競馬開催である。
「数字の面からわかるように永森騎手が所属する高知競馬は、地方競馬の中でも賞金額が低い開催です。過去に武豊騎手がハルウララに騎乗するために、高知競馬に参戦しましたが、その時の1着賞金は11万円。仮に勝ったとしても騎手の取り分は5%の5500円です。5着に入っても賞金は6000円で、騎手は300円の収入にしかなりません。その点、JRAは仮に未勝利戦で着外でも、最低2万6000円の騎乗手当がつきます。武豊騎手も『同じ騎手として、あまりに酷な見返りだ』と問題視されていました」(同)