「この夏、最大の上がり馬」カフジプリンスの迷走……予定される3カ月間で10600mのマラソンは『矢作マジック』再来の布石なのか!?

 この夏、札幌で行なわれた出世レース阿寒湖特別(1000万下)を5馬身差で圧勝したカフジプリンス(牡3歳、栗東・矢作厩舎)の”迷走”が続いている。

 阿寒湖特別はこの馬の将来に大きな希望を抱かせる、実に圧倒的な競馬だった。

 レースは4コーナーに差し掛かると一気にスパートするも、あまりにも勢いが付きすぎて小回りのコーナーで大きく外に振られた。だが、周りの馬とは次元の違う手応えで先頭に並びかけると、後は独壇場。後続を突き放すワンサイドのままゴールしている。

「秋は菊花賞に出したいと思っている馬です。この馬は走りますよ」

 手綱をとった福永祐一騎手が興奮気味にそう話した通り、この圧巻の勝利は菊花賞戦線に「最大の惑星」が誕生したことを予感させるものだった。過去にマンハッタンカフェやファインモーション、ステイゴールドが出世の足掛かりとした札幌の名物レースから、また一頭名馬が駆け上がってゆく……。そんな期待と希望に満ちた勝利だった。

 しかし、今、カフジプリンスの鞍上に福永騎手の姿はない。

 歯車が狂いだした、いや、正確に述べれば菊花賞の有力馬に躍り出たカフジプリンスの”進路”に疑問符を打たざるを得なくなり始めたのは、陣営が前走の丹頂S(OP)を使う決断をしてからだった。

 阿寒湖特別の勝利で、すでに1000万下を卒業したカフジプリンス。この時点でセントライト記念(G2)や神戸新聞杯(G2)といった優先出走権が発生するレースの結果は出ていないが、状況を鑑みれば1600万下の身でも十分菊花賞に出走できることが推測される。

 仮に抽選になったとしても「外れる方が難しい」といった状況になるのは明白だった。

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