「この夏、最大の上がり馬」カフジプリンスの迷走……予定される3カ月間で10600mのマラソンは『矢作マジック』再来の布石なのか!?
しかし、陣営は丹頂Sで古馬のオープンクラスにぶつけることを決断。菊花賞の出走を確実なものにするため、その判断自体を否定するつもりはない。しかし、本番に繋がる有力騎手を確保できない状況で出走したスタンスには疑問が残る。
おそらく、この丹頂Sでも福永騎手が手綱をとる予定だったのだろう。実際に福永騎手はこの日、新潟と小倉で重賞があるにもかかわらず札幌で騎乗している。しかし、丹頂Sはオープンのハンデ戦であり、1000万下を勝ったばかりのカフジプリンスのハンデは51㎏と極めて軽いものとなった。
無論、ハンデが軽いことは有利なのだ。だが、逆に述べると「51㎏以下の騎手しか乗れない」ということになる。そして、残念ながら福永騎手が乗れる限界は52㎏。福永騎手としても懸命に減量しようとしたのだろうが騎乗は実現せず、代わりに若手の菱田裕二騎手が騎乗している。
菱田騎手もここまで28勝と若手の中では有力な騎手だが、突然巡ってきた丹頂Sの騎乗は褒められたものではなかった。前走の勝ちっぷりが評価されて1番人気に支持されたが、カフジプリンスとの呼吸が終始合わないまま6着に惨敗。
あくまで結果論だが、菊花賞に向けて実りの少ない「余計な一戦」となってしまった。
だが、それでも時期は9月の頭。10月後半の菊花賞に向けて、立て直す時間は十分にあった。福永騎手も有力な3歳牡馬を確保しておらず、菊花賞で再コンビを組む道も残されている。カフジプリンスの所属する矢作厩舎と福永騎手のコンビといえば、昨年の菊花賞で2着だったリアルスティール。今年こそは、そのリベンジを目指すプランもあったはずだ。
しかし、今やその可能性は極めて低いものとなってしまった。