「この夏、最大の上がり馬」カフジプリンスの迷走……予定される3カ月間で10600mのマラソンは『矢作マジック』再来の布石なのか!?
陣営はカフジプリンスを菊花賞に直行させず、さらに今週末の神戸新聞杯(G2)への出走を予定している。まだ確定段階ではないが、すでに岩田康誠騎手を確保しており出走は濃厚な状態だ。ちなみに福永騎手は同日中山のオールカマー(G2)でサトノノブレスの先約があったようだ。
いや、仮に先約がなかったとしても、カフジプリンスに福永騎手が騎乗できたかは定かではない。
実は先日、上記したリアルスティールにおいて矢作調教師は福永騎手とのコンビを解消。春の安田記念(G1)で、2番人気ながら11着に大敗した際の福永騎手の騎乗がきっかけといわれているが、両者の間に大きな亀裂が入ったことは確かだ。
それだけではない、仮にカフジプリンスが神戸新聞杯と菊花賞に出走すれば、7月30日の阿寒湖特別から10月23日の菊花賞までのわずか3カ月間で合計10600m走ることになる。
一般的に競馬はダートよりも芝で、かつ距離が長いほどレースのダメージは大きいといわれている。その上で、カフジプリンスの3カ月間で合計10600mは「異常な使われ方」と首を捻らざるを得ない。ちなみに春のダイヤモンドS(3400m)と阪神大賞典(3000m)を使って天皇賞・春(3200m)を制した馬は、未だかつていない。
タフな馬なのだろうが、果たして菊花賞のゴールまでスタミナが持つのかは甚だ疑問だ。
「矢作厩舎といえば、かつて看板馬にグランプリボスという馬がいました。2011年のNHKマイルCを勝ったり、一昨年の安田記念でも2着に激走したりと最後までマイル戦線のトップクラスを駆け抜けた名馬ですが、その独特の使われ方が当時『矢作マジック』として関係者の間で絶賛された時期がありました。今回のカフジプリンスも周囲から見れば明らかに”迷走”ですが、もしかしたら、そのノウハウが今も生きているのかもしれませんね」(競馬記者)
グランプリボスが3歳でNHKマイルC(G1)を制した際は、スプリングS(G2)からの直行ではなく、トライアルのニュージーランドT(G2)を使っての3連戦で見事本番を制している。また、4歳になってからの安田記念でも事前にマイラーズC(G2)だけでなく、京王杯スプリングC(G2)と、やはり2つの前哨戦を挟んで2着に激走している。