JRAリスグラシュー 「関係者ファインプレー」こそ圧勝要因……レーン壮絶騎乗の裏に「予行練習」?
今年の有馬記念(G1)はリスグラシュー(牝5歳、栗東・矢作芳人厩舎)が、単勝1.5倍でダントツの1番人気に支持されたアーモンドアイらを打ち破り、優勝を果たした。
有馬記念のリスグラシューの優勝は、かつて勝利まであと一歩届かなかったG1競走で勝つなど、馬自身の成長力もあげられる。だが、それに加えて陣営の手腕も光った結果であると、関係者は教えてくれた。
「まず矢作師が、D.レーン騎手が有馬記念でリスグラシューに騎乗できるように動いたことが大きかったですね。一時はL.デットーリ騎手が『いい馬がいれば有馬記念に騎乗したい』という意思があったため、再び短期免許を申請してリスグラシューに騎乗するプランも浮上していました。ところが、馬の個性に合った騎手を乗せることを優先させる矢作師としては、申し分ない実績を残しているレーン騎手に是が非でも乗ってもらいたかったんです。
ただ、レーン騎手は今春、すでに短期免許で来日していたため、免許期間を使い果たしていました。だけれどもそこで諦めるのではなく、レーン騎手がリスグラシューで宝塚記念、さらにJRAが国内で馬券を発売したコックスプレート(豪G1)を制覇しているので、これを『G1競走で2勝以上』にあたるとして矢作師らがJRAに働きかけたんです。その結果、有馬記念当日のみ1日限定の免許交付が認められたんです」(競馬関係者)
矢作師のこだわりが、有馬記念の勝利に一役買ったのだろう。また当日は、ノーザンファームのバックアップもあったという。
「22日にレーン騎手は、第8Rのグッドラックハンデと第11Rの有馬記念の2レースにのみ騎乗。この2レースは芝2500mと同条件で行われ、しかも騎乗したのはともに斤量が55キロの馬。有馬記念の前に“予行練習”を行えたことが、あの神がかったあの立ち回り、コース取りができた要因だと考える人も多いみたいです」(競馬誌ライター)
たしかにある騎手は『出たなりで中団のインを確保して、道中は動かずとも人馬の呼吸はピッタリ』と話し、さらに『4コーナーの捌きが秀逸だった』と興奮気味に教えてくれた。
「あそこでは始め、レーン騎手はリスグラシューを外へ出そうとする意識があったように思います。ただ下がってくる馬をパスしつつ、スワーヴリチャードやヴェロックスの手応えがないと見るや、1度内へ切り返して交わした後に、一気に大外へ。あのコース取りがあそこまでの圧勝を生んだのではないでしょうか」(若手騎手)
圧勝で引退の花道を飾ったリスグラシューだが、そこには関係者たちの多大なサポートもあってのことだったようだ。これからは繁殖牝馬として産駒をターフに送り出す仕事が待っている。産駒たちはレースでどのような活躍を見せてくれるのか。今から誕生が待ち遠しい。