「MAXでやった」坂路1番時計の「究極仕上げ」で送り出されるミッキーアイル!規格外の怪物が取り戻した「個性」と「狂気」が王者ビッグアーサーに迫る!
3歳で古馬と戦ったマイルG1の2戦で大敗を喫したのだから「マイルは長い」という見方もできる。だが、NHKマイルCを含む5連勝がすべてマイル戦であった事実を考えれば、そう簡単にマイルに見切りをつけられるものでもないだろう。
その結果、結局ミッキーアイルがマイルと決別できたのは、昨年の安田記念だった。マイルで勝つため覚えた「控える競馬」の集大成として挑んだ一戦。道中では一時7番手までポジションを下げて脚を溜めようとしたが、結果は15着大敗。残念ながら成果は、生まれなかった。
そんなミッキーアイルに転機が訪れたのは、今年の阪急杯(G3)だ。
主戦の浜中騎手が落馬負傷のため、松山弘平騎手に乗り替わり。当時まで通算重賞3勝と実績のない鞍上が不安視されたが、先入観のない松山騎手はミッキーアイルを逃げ馬に戻し、3歳秋のスワンS以来、約1年半ぶりの勝利を挙げた。
このレースぶりに周囲からは「これまで浜中騎手が教え込んできたことが無駄になった」と批判もあった。だが、馬も人も、必ずしも抑え込むことばかりが教育ではないのかもしれない。
続く高松宮記念で松山騎手は折り合いより、またもミッキーアイル自身のリズムを優先。ローレルベローチェを始めとした何が何でも逃げたい馬がいたため、ハナを切ることはなかったが最後まで脚色は衰えず、勝ったビッグアーサーから3/4馬身差の競馬で2着した。
古馬になって初めて、G1に手が届き掛けた瞬間だった。