JRAトゥルーヴィル「持ち時計アテにならない」京成杯馬クリスタルブラックと気になる共通点
東京スポーツ杯2歳S(G3)2着のアルジャンナで決まりの雰囲気が濃厚なきさらぎ賞(G3)だが、ここで気になる穴馬としてトゥルーヴィル(牡3歳、栗東・斉藤崇史厩舎)を採り上げてみたい。
同馬は11月の京都でデビュー。11月の京都・芝1800mで行われた2歳戦は全6鞍。うち5レースの勝ち時計が1分49秒台までにとどまっている中で、トゥルーヴィルの1.53.3は「抜けて遅い」といえる。
これだけだと特別変わったことはないのだが、注目したいのはラップと展開だ。レースは13.4-12.2-12.9-13.8-13.8-13.0-12.1-11.1-11.0で推移し、13秒台の中弛みが多数出現している。
1000m通過66.1と異常な遅さが目立つが、この日の京都は馬場の内側が荒れており、このレースでは全馬が3,4頭分ほど外を回している。これだと実際の走破距離は1800mなはずがなく、かなりのロスがあったであろうことは容易に想像できる。
勝ち時計というのはレースレベルを計る上でファクターであることに違いないが、それはあくまで近似値となる条件での比較でこそ信頼度が増す。
時計がアテにならない極端な例だと98年の春の天皇賞馬メジロブライトの新馬戦勝ち時計が芝1800mにもかかわらず2.01.6という、とてつもない遅さだったのはオールドファンなら聞き覚えがあるのではないか。
では改めてトゥルーヴィルの新馬の内容を振り返ってみたい。スタートを決めてさっと好位のインにつけたものの、直線入り口で外から上がってきたランニングスターに押し込められてしまった。
そのため、一度は進路がなくなってしまった状況から、追い出しを待たされるロスがあった。外に進路を見つけるとシュルシャガナの強襲をクビ差凌いだ。
騎乗したC.スミヨン騎手はレース後のコメントで「調教の手応えから、もっと伸びると思います。ひょっとすると、トップギアに入るのに時間がかかるタイプかもしれません」と振り返った。
このコメントから直線スムーズに追えなかったことが、トップギアまで上がり切らずに終わった可能性も出てくる。上がり3Fが12.0-11.1-11.0と加速ラップだったことも実質ラスト2Fの競馬しかしていないと捉えることが可能だ。