JRAアカノニジュウイチ「ポツンしても勝算あり!?」良なら末脚キレッキレ
アカノニジュウイチ(牝3、美浦・尾関知人厩舎)の新馬戦の内容がなかなか印象的な勝ち方だったのである。同馬は父ブラックタイド×母データ(母父Roy)という血統。
昨年10月27日の新馬でデビュー。スタートこそよくなかったが、直線は楽な手応えで馬なりのまま先頭に並び掛け、残り200mで鞭が入ると瞬く間に後続を置き去りにした。
ゴール前でもまだ余裕がある脚色で2着馬に3馬身半をつける大楽勝だった。芝1400m戦で前半3Fが36.3の超スローペースでレースの上がりは3F34.0という、前にいる馬にとって完全に展開が向いていたにもかかわらず楽に差し切るワンサイドゲーム。
2着馬の上がりは34.1秒なのだから0.6秒差をつけた同馬の32.9秒が、いかに驚異的な数字だったのか。これはもうモノが違ったというほかない。
藤岡佑介騎手がレース後のコメントで「遅い流れの中、馬なりで前に取りつきましたし、抜けてからしっかり伸びているのが良いですね。楽しみです」と褒めれば、管理する尾関知人調教師も「ある程度手応えはありましたが、それ以上にビックリするくらいの、強い勝ち方でした。今後が楽しみです」と同馬の将来性に大きな期待を膨らませた。
新馬勝ちのあとは疲れが出たためいったん放牧に出した。帰厩後はしっかりと乗り込まれて、1週前追いは美浦のウッドで単走5F68秒1-12秒5と軽快な走り。
陣営からは「戻ってきてからも順調です。体に幅が出てさらなる成長が感じられるし、カイバもしっかり食べてくれていますよ」とふっくらした馬体に目を細めた。
新馬戦でマークした3F32.9秒は、昨年の東京競馬で2歳馬では唯一の32秒台。これに続く2位はリアアメリアがアルテミスS(G3)で計時した33.0秒だ。
全体でもアカノニジュウイチ以外の2歳馬では阪神JF(G1)の4着馬、ウーマンズハート1頭のみだから価値がある。
キャリア1戦ながら重賞にぶつけてきたのは、アカノニジュウイチへの大きな期待の表れではないだろうか。
今回は重賞で相手も強化され、距離も1F延長となる。週末の雨予報は「あれだけ切れたので、できれば良馬場でやりたい。折り合いがつけば距離は大丈夫」と陣営も気になっている様子だが、先を見据えるとクリアしておきたい課題だ。
鞍上には先週の東京新聞杯(G3)をクリノガウディーで3着した横山典弘騎手。見事な馬場読みで外枠から内へ潜り込ませた好騎乗にうならされたばかり。
これだけ切れる脚があるならば「ポツン」しても差し切れる!?
あとは馬場が悪化しないことを祈るばかりだ。