JRA武豊が自画自賛した名牝。 チューリップ賞(G2)「オープン時代」の勝ち馬ベガの軌跡を辿る
7日(土)に阪神競馬場で開催される桜花賞トライアル・チューリップ賞(G2)。
過去10年だけに限っても、3着内に入った馬が桜花賞(G1)、オークス(G1)をはじめ、後のG1馬を7頭輩出している出世レースでもある。
今年もクラシックに向けて有力馬が多数顔をそろえ、楽しみな一戦となりそうだ。
このレースは1994年にG3として重賞格付けされ、翌年から桜花賞トライアルとして指定されている。さらに一昨年からは格上げされてG2重賞となっているが、開設されたのは1984年。桜花賞指定オープンとして1993年まで開催されていたが、その間も2冠牝馬を2頭、桜花賞馬を1頭、オークス馬を1頭送り出しており、重要度は今と変わらない一戦だった。
そのオープン時代最後となった93年の勝ち馬、ベガを振り返ってみたい。
社台グループが今の隆盛を築いた大種牡馬の1頭、トニービンが導入された初年度の産駒となる。同世代のウイニングチケットもトニービン産駒で日本ダービー(G1)を制するなど、初年度から大活躍を見せた。
ベガはデビューが遅く、4歳(現在の3歳)の1月に京都でデビューしている。この時は2番手からの競馬で直線競り負けている。2週間後の新馬戦に再挑戦。鞍上は橋本美純騎手から絶頂期の武豊騎手に乗り替わる。ここでは後続に4馬身差をつける圧勝で勝ち上がる。
そして迎えたチューリップ賞(OP)。前年の3歳(現在の2歳)女王、スエヒロジョウオーも出走していたが、それらの有力馬を抑えての1番人気。11~12秒台でラップを踏むハイペースの中、やはり2番手からレースを進め、4角から先頭に立つとそのまま押し切り、2着に3馬身差、3着には5馬身差をつける完勝で、一躍桜花賞馬候補筆頭となった。
迎えた桜花賞(G1)も断然の1番人気。2冠牝馬マックスビューティの初年度産駒マックスジョリーやトライアルの報知杯4歳牝馬特別(現在のフィリーズレビュー・G2)を勝ったヤマヒサローレルが人気になっていたが、5番人気のユキノビジンとマックスジョリーをクビ差、クビ差抑えて勝利を勝ち取る。
実はこのレースは、武豊騎手が今になっても「ほぼ完璧」と自画自賛する内容。桜花賞5勝を誇る天才騎手にとっても記憶に残るレースだったようだ。