「お役所」JRA理事VS「大反対」馬主協会……長過ぎ『弥生賞ディープインパクト記念(G2)』やはり「反対」されていた。レース誕生の舞台裏とは
「西山オーナー自身が『省略したくなりますよね』と話している通り、馬主サイドとしては決して満足いく結果ではなかったようですが、お互い譲らないままの妥協案となってしまったとか。
ちなみにJRAの公式HPなどで掲載されている“本当”の正式名称は『報知杯弥生賞ディープインパクト記念』。新聞や雑誌などでは文字数が限られますので、メディアへの影響は決して小さくないです。現状は最初だけ正式名称で、あとは弥生賞と表記するところも多い印象ですね。いずれにせよ、ファンに馴染むには時間が掛かりそうです」(競馬記者)
改めてディープインパクトのキャリアを振り返ってみると国内13戦の内、大半が伝統のある(名称変更が極めて難しい)G1レースだ。勝利レースに拘るなら新馬戦を除くと若駒S、弥生賞、神戸新聞杯(G2)、阪神大賞典(G2)と候補が4つしかない。いずれも歴史があり、ファンにも定着しているレースだ。
過去の三冠馬を称えたシンザン記念やセントライト記念が3歳クラシックを占う前哨戦だっただけに、JRAサイドが弥生賞を対象に決めたことにも一定の理解はある。
一方、馬主サイドが伝統ある弥生賞という名称を残してほしいと訴えるのも当然か。弥生賞の由来は万葉集や日本書紀にも登場する古来よりの「月」の名称であり、2月のきさらぎ賞(G3)や4月の皐月賞(G1)がある以上、3月が消えてしまうことにも問題があるだろう。
しかし、その結果誕生した弥生賞ディープインパクト記念は、やはりナンセンスな結果と述べざるを得ない。JRAと馬主協会のどちらかがいずれ折れるのか、それとも協議されないままファンに定着していくのか…。
競走馬、種牡馬として文句ない結果の残したディープインパクトだが、まさかこのような形で“ケチ”が付くとは思わなかっただろう。