JRA「やっちまったと愕然」支えてくれた関係者に感無量! 距離誤認のあの若手騎手が真相を語る

 1年でもおかしくないと考えていた処分は3ヶ月の騎乗停止で済んだ。その裏には北所オーナーが、JRAに寛大な判定をお願いしてくれた背景もあったようだ。己の不甲斐なさを反省し、騎乗停止となった3ヶ月の間、朝の調教時間には一心不乱に騎乗馬を求め、調教が終わってからはすぐ寮に戻り、自分を見つめ直した。

 そして、19年の1月14日から騎乗を再開して約1か月後の2月10日。東京7Rを5番人気ペイシャボムで制し、復帰後初勝利となる通算8勝目を飾った。この勝利は山田騎手にとっても忘れられない1勝となっただろう。

 レース後のインタビューに「うれしいです。戻ってくる時に少しウルッと来たが、涙は我慢しました」と溢れる涙をこらえて答えた。このとき騎乗したペイシャボムは、距離誤認を犯したペイシャエリートと同じく北所直人オーナーの所有馬だった。

「まずは北所オーナーに感謝の言葉を伝えたい。モヤモヤしていたのが、少しだけ晴れたような感じです」と、オーナーの心遣いに改めて支えてくれる人々の存在を痛感した。

 ウイナーズサークルではサイン攻めにあい、多くのファンが「おめでとう」「応援してるよ」と温かい拍手で迎えられた。

 前代未聞の事件を起こし、騎乗停止処分を受けたことは事実だ。だが、多くの関係者、ファン、これまで支えてくれた恩師や育ててくれた母の存在は山田騎手にかけがえのない財産となっている。

「プロ」である山田騎手が、恩返しをしていくには謝罪の言葉より、同じミスを繰り返さずに結果を出していくよりほかはない。

 この苦い思い出も、これから続く騎手人生の大きな「糧」となっていくだろう。

 「成長した」山田騎手のさらなる活躍を見守っていきたい。

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