【徹底考察】秋華賞(G1) ジュエラー「復活へ向けた気迫の最終追い切りは抜群の動き!復調しつつある桜花賞馬の『2冠達成』の可能性を考察する」
こうなってしまった原因でまず考えられるのは、故障で桜花賞以来の競馬だったこと。ただ、桜花賞馬を襲ったのは能力の低下が懸念される屈腱炎ではなく、左第1指骨の剥離骨折という比較的症状が軽い故障だった。
事実、ケガ自体は早々に完治して8月18日には帰厩。ローズSも乗り込み自体は十分な量をこなしていた。藤岡調教師も「何の問題もなく順調」とコメントしている。
レース当日、馬体重は+10kgの504㎏だったが、これはシンザン記念で2着した時と同じ。特別に太かったわけではない。従って状態は100%でなかったことは確かだろうが、決して完調がほど遠い状態ではなかったはずだ。
次に考えられるのが、雨の影響だ。レース中こそ曇りだったが、馬場状態は「重」。昨年のローズSよりも1.5秒遅い決着は、多分に雨の影響があったと思われる。
ジュエラーにとって、これまでのキャリア4戦はすべて良馬場で、荒れた馬場でのレースは前走が初めてだった。M.デムーロ騎手もレース後に「この馬場は合わない」と敗因を雨に求めている。
そのため、雨が最大の敗因となった可能性は否定できない。
だが、個人的な見解は少し異なる。
【血統診断】
父ヴィクトワールピサは日本馬でただ一頭ドバイワールドカップを制した歴史的名馬で、この3歳世代が初年度産駒となる。桜花賞馬の本馬を始め、フローラSを2着したパールコード、プリンシパルSを勝ったアジュールローズ、若葉S2着のナムラシングンなど素質馬を送り込み、種牡馬として好発進を決めている。
母バルドウィナはフランスのG3(芝2100m)の勝ち馬。血統は日本で馴染みのないフランス血統で、それだけを見るとまずまずスタミナがありそうだが、半姉のワンカラット(父ファルブラヴ)は重賞4勝を挙げたスプリンター。同じく半姉のサンシャインは愛知杯で2着するなど中距離をこなしているが、父はスタミナに優れたハーツクライ。
従って母方は、スタミナよりもスピードが勝った適性があると考えるのが自然だ。
日本に馴染みのない血を持つ母方に、サンプル数の少ない種牡馬ヴィクトワールピサとの配合なので、血統的な側面からジュエラーの距離適性を判断するのは難しい。ただ、それでもヴィクトワールピサの血統背景から、ファルブラヴよりスタミナがあり、ハーツクライよりは距離をこなせない中距離種牡馬と判断するのが妥当か。