JRA桜花賞(G1)「キズナ産駒の出世頭」マルターズディオサ、チューリップ賞覇者が6年ぶり桜の女王へ
12日、阪神競馬場で牝馬クラシック第1弾、桜花賞(G1)が行われる。5戦3勝、2着2回のマルターズディオサ(牝3歳、美浦・手塚貴久厩舎)が田辺裕信騎手とのコンビでG1獲りに挑む。
デビューから5戦すべてで人気以上の結果を残してきたマルターズディオサ。2走前の阪神JF(G1)で2着と好走しながら、前走のチューリップ賞(G2)では単勝オッズ15.3倍、4番人気という低評価を受けた。しかし、レースでは好スタートから向正面で早めに進出を開始。4コーナーで2歳女王を射程圏に入れると、最後は内から迫るクラヴァシュドールを退け、重賞初制覇を飾った。
桜花賞に直結するレースとして知られるチューリップ賞だが、直近3年の勝ち馬は別路線組だ。チューリップ賞組の桜花賞制覇は2016年のジュエラーが最後。チューリップ賞勝ち馬の桜花賞制覇は2014年のハープスターまでさかのぼる。
直近3年のチューリップ賞勝ち馬の桜花賞着順はというと、17年から順に、ソウルスターリング3着、ラッキーライラック2着、ダノンファンタジー4着と勝ち切れていない。『netkeiba.com』の事前オッズでは、8日19時時点で上位6頭が10倍を切る混戦模様のオッズを示している。チューリップ賞組は3着のレシステンシアが1番人気、マルターズディオサが4番人気、クラヴァシュドールが6番人気に予想されている。
最終追い切りなどを受け、実際のオッズは大きく変わる可能性もあるが、チューリップ賞勝ち馬が4番人気なら再び過小評価といえるだろう。そんなマルターズディオサにとって最大の魅力が、父キズナの血だ。
現3歳世代はキズナの初年度産駒。マルターズディオサ以外にビアンフェ、クリスタルブラック、アブレイズの3頭が重賞を制覇している。今年の種牡馬リーディングでキズナは現在9位。3歳の“1世代だけ”でこの時期にトップ10入りしているのは異例だ。
キズナの父ディープインパクトですら、初年度産駒が3歳だった2011年は、桜花賞直前でリーディング11位だった。種牡馬としてキズナはまさに父を超える快進撃を見せているということになる。
「キズナ産駒はとにかく万能です。ビアンフェは1200mの函館2歳Sを出遅れながらスピードの違いで逃げて快勝しました。2000mの京成杯ではクリスタルブラックが消耗戦のレースを大外一気で差し切るなど、距離適性はかなり広めです。さらに芝だけでなくダートでも多くのキズナ産駒が新馬・未勝利を勝ち上がっています。ポスト・ディープインパクトとしての地位は約束されたようなものでしょう」(競馬誌ライター)
昨年急逝した大種牡馬のディープインパクトの後継として、すでにその地位を確固たるものにしつつあるキズナ。自身の現役時代には、3歳春に急成長を見せた。その血を受け継ぐマルターズディオサがさらに成長する可能性は高い。
奇しくもディープインパクト産駒のG1初制覇は桜花賞だった(2011年マルセリーナ)。G1・2着の実績を持つマルターズディオサは、キズナ産駒の“出世頭”として父に初のG1タイトルをプレゼントできるだろうか。