JRA桜花賞男は武豊。通算5勝「平成最初」の桜花賞から「令和最初」の制覇へ
4度目の勝利は1998年の桜花賞。競馬人気が絶頂を迎え、この年武豊は自己最高のJRA年間169勝、重賞22勝を記録している。その年の相棒は、直前に乗り替わりで騎乗依頼が飛び込んできたファレノプシスだった。
同馬はデビューから3連勝で挑んだチューリップ賞で、1番人気4着に敗退。鞍上は若手の石山繁騎手だったが、陣営は武豊への乗り替わりを決断。レースは前走が嫌われて3番人気に甘んじたが、終わってみれば快勝。好スタートから先行馬を見る形で絶好の位置に付け、直線前が開いたのを見計らって外に出し、上がり3位の脚で差し切り勝ち。この勝利が、その後ファレノプシスの弟であるキズナとの日本ダービー制覇に繋がっていく。
最後の勝利は2004年のダンスインザムード。デビューから3戦3勝で挑んだ桜花賞は、単勝2.9倍の支持を集めた。当時桜花賞は圧倒的に関西馬が強く、関東馬は1986年のメジロラモーヌを最後に18連敗中。その状況でも1番人気に支持されたのは、やはり名手武豊の存在があってのものだろう。
武豊騎手は前年の2003年に史上最高のJRA年間204勝を記録、まさに絶対的王者に君臨していた。そんな武豊が騎乗したダンスインザムードは、父がサンデーサイレンス、兄がダンスインザダーク、姉がダンスパートナーという名牝中の名牝。関東の名伯楽・藤沢和雄が送り出した素質馬だった。
レースはスタートを決め、先行馬争いには加わらず6番手を追走。持ったままの手応えで4コーナーでは早くも先頭に並びかけ、上がり最速で2馬身差の圧勝。しかもゴール前は手綱を抑える余裕もあったほど。まさに非の打ち所がないレース内容だった。
武豊の桜花賞5勝を見てみると、そのうち2勝は乗り替わりで初騎乗だった。そういった意味では、レシステンシアの乗り替わりも大きなマイナスにはならないだろう。
ただし、2番手から抜け出したベガ以外は差し、追い込みでの勝利が多く、純粋な逃げ馬での勝利はない。阪神ジュベナイルフィリーズを逃げて勝利したレシステンシアがどんな競馬をするか、気になるところだ。
武豊騎手は先日、日本騎手クラブ会長としてメッセージを発表。そこには競馬を開催することへの責任感と決意を感じさせる重い言葉があった。桜花賞が無観客競馬となってしまったのは残念だが、やはり桜の季節は武豊が良く似合う。どんなレースを見せるか、豊マジックに期待したい。