JRA母は現役「10年間」未出走の“幻の馬”! 産駒がニュージーランドT(G2)出走に“一部”で話題騒然
約27年ぶりの挑戦は11着に敗れた。
11日に中山競馬場でニュージーランドT(G2)が開催され、ルフトシュトロームが3連勝で重賞初制覇を飾った。このレースには、重賞初挑戦のシャチ(牡3歳、美浦・小桧山悟厩舎)も出走していた。
昨年8月にデビューしてから芝1200m~1600mのレースに出走し続けるも、なかなか勝ち上がることができなかったシャチ。だが、2月の小倉の未勝利戦で山田敬士騎手と初コンビ結成が勝利のきっかけとなった。
最後方から2番目の位置取りでレースを進めるも、3コーナーから早くも進出を開始。この時の小倉競馬場の馬場は内が傷んでいたため、各馬最内を避けていた。それを逆手に取ってシャチは最内をスルスル上がっていった。コーナーワークを活かして直線では先頭に立つと、そのまま後続を退けてゴールし、10戦目で待望の初勝利を飾った。
続く1勝クラスは、中団からレースを進めて、先行から抜け出した馬をゴール前できっちり交わしてゴール。10番人気の低評価を覆す勝利となった。そして、勢いそのままに連闘でニュージーランドTにコマを進める。
実はシャチの馬主である中村勝彦氏にとって、ニュージーランドT出走は1993年の府中牝馬S(G3・当時)以来、約「27年」ぶりの重賞挑戦なのだ。前回の挑戦はミラーズドウターで挑み、16着に敗れたため初重賞制覇もかかっていた。
そんな期待を背負ってシャチは出走。だが、スタートの出遅れが響き最後方からのレースとなってしまい、直線では5頭交わすのが精いっぱいの11着。27年ぶりの重賞挑戦は残念な結果に終わってしまった。
今回、久々の重賞挑戦もさることながら、シャチの「血統」も一部から注目を集めた。
シャチの母は同じく中村氏が所有したソウタツ。同馬は現役時代に9戦するも未勝利。驚くべきはそれから「10年間」出走しないまま競走馬登録を抹消されることがなく、14歳まで現役だったというある意味“幻の馬”だ。さらにその現役中に2度の出産をしたという経歴がある謎多き馬でもある。
「ソウタツが14歳まで引退しなかった理由として、馬主資格保持のためという説があります。現行の馬主のルールには『1年以上馬を所有しなかった場合は資格を取り消す』というものがあるため、引退させなかったのではと言われていました」(競馬記者)
真相は謎に包まれたままだが、ソウタツは紛れもなく競走馬としては“異例”の半生を送っていることは間違いないはずだ。
それにしても、繁殖牝馬にとってこの“空白の10年”は大きいだろう。牡馬は年間に多くの繁殖牝馬と交配を行えるが、牝馬は1年に1回だけ。本来、あと10頭近くの産駒を輩出できるチャンスを失ってしまったのは痛手だろう。だが、今回のシャチの活躍によって、同馬はもちろん、今後の産駒の活躍にも期待できそうだ。
幻の馬の産駒が、“10年”のビハインドを覆すことを楽しみにしたい。