JRA「ウオッカ超え」デアリングタクトの次なるターゲットはアーモンドアイ!? 松山弘平は「ルメール超え」
12日、降り続く雨により、「重」馬場で開催された令和初の桜花賞(G1)は、松山弘平騎手の2番人気デアリングタクト(牝3、栗東・杉山晴紀厩舎)が圧勝。ハイペースながら前に行った馬が残る展開を後方待機策から突き抜けた。エルフィンS(L)ではウオッカのレコードを更新した才媛は3戦無敗で桜の女王へと駆け上がった。
「重・不良」で開催された桜花賞は97年キョウエイマーチ以来となる23年ぶり。1分36秒1の勝ち時計からも、いかに馬場が悪化していたかもうかがい知れる。
衝撃的だったのは、やはりその勝ちっぷりだろう。エルフィンSをレコード勝ちしたように馬場の悪化はデアリングタクトにとってプラスとはいえない可能性も高かったからだ。父エピファネイアが不良の菊花賞を勝っていることから、こなせるのではないかという期待はあれど、ここまでの強さを見せたことには驚かざるを得ない。
チューリップ賞(G2)では溜め逃げが仇となった2歳女王レシステンシアは、前走の敗戦を活かして早めの競馬で抜け出しを狙った。同馬に騎乗した武豊騎手が「勝った馬が強かった」と素直に脱帽したように、不完全燃焼だった前走とは異なって力を出し切っている。
レース後に松山騎手が人差し指を立てたことも3冠を意識していることが垣間見え、これはパートナーへの絶大な信頼の証ではないだろうか。奇しくも18年にアーモンドアイで桜花賞を勝利したC.ルメール騎手も同じく人差し指を立て、3冠奪取をアピールしていた。
アーモンドアイがこのとき破った相手は2歳女王のラッキーライラックだった。そして、デアリングタクトが倒した相手も、同じく2歳女王レシステンシアだった。
また、桜花賞終了時の段階でデアリングタクトがアーモンドアイに対し、上回っていることが「2点」ある。アーモンドアイは新馬戦を敗れ、4戦3勝だったことに対し、デアリングタクトは3戦無敗だ。
さらに、アーモンドアイはレースの上がり3F34秒4に対し33秒2と1秒2速かったが、デアリングタクトはレースの上がり3F38秒1に対し36秒6と1秒5の差をつけている。これはアーモンドアイよりも0秒3速い。
そして、デアリングタクトとコンビを組む松山騎手が今年絶好調なことも見逃せない。桜花賞の勝利もパートナーの力を信じ、他馬の動きに惑わされることなく能力を存分に発揮させることを優先したことが勝利を引き寄せた。この判断は、好調の波に乗っていたからこそできた騎乗だろう。
松山騎手は、桜花賞の優勝で単独トップとなる重賞6勝目をあげた。2020年の重賞成績は【6.0.3.8/17】で勝率35.3%は断然の1位だ。多数の有力馬を確保している2位のルメール騎手が【5.3.1.8/17】で勝率29.4%ということを考えると、これは驚異的な数字といえるだろう。ちなみに川田将雅騎手はリーディング争いこそ、1位ではあるが、重賞勝ちは【3.1.1.12/17】で勝率17.6%にとどまっている。
3年前の皐月賞で、松山騎手は9番人気アルアインで初G1勝利を飾った。この頃は期待の若手騎手のひとりに過ぎなかった。だが、G1・2勝目を手に入れた今は、関係者からの信頼も厚いトップジョッキーのひとりになった。
「デアリングタクト×松山弘平」のフレッシュなコンビは、今年の競馬界を席巻するだろうか。